利用報告書

ピリジンに関連した有機及び配位化合物の結晶構造の研究
秋津貴城1)
1)東京理科大学理学部

課題番号 :S-20-NR-0016
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :ピリジンに関連した有機及び配位化合物の結晶構造の研究
Program Title (English) :Studies on crystal structures of organic and coordination compounds associated
with pyridine
利用者名(日本語) :秋津貴城1)
Username (English) :T. Akitsu1)
所属名(日本語) :1)東京理科大学理学部
Affiliation (English) :1) Faculty of Science、Tokyo University of Science

1.概要(Summary )
生物学的特性と特徴的な共役分子構造により 4-ヒドロキシクマリンは薬理効果を示し、大きな関心を呼んでいる。これとピラジナミドをエタノール溶液中の氷酢酸の存在下で反応させることにより、ヒドラゾンシッフ塩基リガンドを合成しようとした。このときに偶然得られた複素環式4-ヒドロキシクマリン化合物でキラル結晶化が観察されたので、関連する反応の他の化合物の結晶構造とともに報告する。

2.実験(Experimental)
そこで、本研究では、ピリジンに関連した有機及び配位化合物の結晶構造解析を行うことで、合成された化合物の構造を確定することと、薬理学的特性を議論する上で必要な立体構造の情報を得ることを目的とする。すでに、一連の化合物の合成が行われ、生物学的活性の試験も済んでいる。良好な単結晶が得られている5種類(CA1-4, 7)の予想される構造式を下記に示す。VariMax RAPID RA-Micro7による測定により、これらのX線結晶構造解析を行うこととした。

3.結果と考察(Results and Discussion)
エタノールから再結晶したC9H8O4 (CA-1) の単結晶をVariMax RAPID RA-Micro7 (Mo Kα)で測定し、Crystal Structure (SHELXT, SHELXL)で構造解析した。Orthorhombic, P212121(#19) Z=4, a=6.76165(13), b=9.94327(19), c=12.2069(2) Å, V= 820.71(3)Å3, R1= 0.0304, Rw= 0.0309, S=1.089であった。炭素六員環と複素環部位は平面構造をとり、これらは結晶中で平行に配列していた。結晶水(O4)の周囲にO1-H1A⋯O4, O4-H4A⋯O3, O4-H4B⋯O3’の水素結合が存在した(図1)。

図1 CA-1の結晶構造

4.その他・特記事項(Others)
NAISTの技術職員 片尾昇平氏に御担当いただいた。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) C. M. Chunkang, I. E. Ikome, E. N. Nfor, Y. Mitani, N. Katsuumi, T. Haraguchi, T. Akitsu,  Molecules, Vol. 25(2020)5691. https://doi.org/10.3390/molecules25235691
(2) Cyprain M. Chunkang, Iris E. Ikome, Emmanuel N. Nfor,三谷悠太,勝海菜月,原口知之, 秋津貴城, 日本結晶学会令和2年(2020年)度年会, 令和2年11月28日.

6.関連特許(Patent)
なし

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