課題番号 ：S-14-NU-0011
利用形態 ：共同研究
利用課題名（日本語） ：フェノール誘導体と導電性高分子の複合化による高導電性透明導電膜の開発
Program Title (English) ：Development of highly conductive transparent films with PEDOT:PSS and
phenol derivatives
利用者名（日本語） ：俵　由一
Username (English) ：Y. Tawara
所属名（日本語） ：旭有機材工業株式会社
Affiliation (English) ：Asahi organic chemicals industry co.,ltd.

１．概要（Summary ）
導電性高分子のポリ（3,4-エチレンジオキシチオフェン）：ポリ（スチレンスルホン酸）（PEDOT:PSS）とメチロール基含有フェノール誘導体(図1)を複合化することにより、導電性と安定性に優れた透明導電膜を得ることができる１）。しかし、ITO（スズドープ酸化インジウム）代替として透明電極用途で使用するためには、さらなる導電性および透明性の向上が求められている。そこで、PEDOT:PSSのドーパントとしてメチロール基含有フェノール誘導体と高沸点極性溶剤(沸点200℃以上)を併用することによる性能向上を検討し、導電膜の特性について評価した。

２．実験（Experimental）
図1に示すメチロール基含有フェノール化合物を合成し、NMRおよび元素分析により構造を同定した。さらに表1に示すコート液を塗布してスピンコーターで成膜後、140℃で乾燥して導電膜を作成し、四探針法によって表面抵抗を測定し、紫外可視分光光度計で550nm光線透過率を測定した（図2）。またサンプルA, Dの導電膜についてAFMにより、表面の粗さを観察した（図3）。

図1. メチロール基含有フェノール化合物

表1． コート液サンプルの配合

３．結果と考察（Results and Discussion）
　

図2. 導電膜ガラスの表面抵抗と透過率の関係

図3. 導電膜ガラスAおよびDのAFM像
　B～DはAより大幅に透過率が向上し、さらに表面抵抗も低下しており、高沸点極性溶剤併用の効果を確認した。
　AFM測定では、DはAよりも突起物が少なく表面が滑らかであり、緻密なドメイン構造を有していることがわかった。

４．その他・特記事項（Others）
参考文献1) Y.Tawara and S.Konagaya, 第23回ポリマー材料フォーラム講演予稿集, p205 (2014)
本研究の成果は名古屋大学大学院工学研究科化学・生物工学専攻　小長谷重次教授との共同研究により得られたものです。厚く御礼申し上げます。

５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
なし

６．関連特許（Patent）
なし