利用報告書

フェライト磁性薄膜の高周波透磁率測定
坪井泉名1), 安達信泰1)
1) 名古屋工業大学先進セラミックス研究センター

課題番号 :S-16-NI-29
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :フェライト磁性薄膜の高周波透磁率測定
Program Title (English) :Characterization of High Frequency Magnetic Permeability of Ferrite Thin Film
利用者名(日本語) :坪井泉名1), 安達信泰1)
Username (English) :I. Ysuboi1), N. Adachi1)
所属名(日本語) :1) 名古屋工業大学先進セラミックス研究センター
Affiliation (English) :1) Advanced Ceramics Reserach Center、Nagoya Institute of Technology

1.概要(Summary )
フェライトを用いたGHz帯での電磁波吸収体の開発を本研究目標とし、バリウムフェライトおよび、鉄の一部をMnで置換した系に関して、600℃から700℃の間で熱処理することにより、保磁力は50 Oe程度となる六方晶フェライトが結晶化した。複素透磁率を測定したところ、0.5GHzから3GHzにかけて、複数の大きな比透磁率ピークを持つ膜が作製で、共鳴を利用したGHz帯での電磁波吸収体が期待できる。
2.実験(Experimental)
(試料は、有機金属分解(MOD)法を用いてガラス基板上に成膜して行った。この方法は、最近、磁性ガーネットフェライトで、急速に発展している成膜方法で、ガラス基板をはじめ、様々な基板上に製膜が可能になりつつあり、大面積コーティングができる利点がある。本課題では、バリウムフェライト、および鉄の一部をMnで置換した系に関して、熱処理することにより結晶化した。磁化測定はSQUIDにより行い、高周波磁気特性は、機器利用において、Ryowa製薄膜用高周波透磁率測定装置を用いて行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
(バリウムフェライト、および、鉄の一部をMnで置換した系に関して、600℃から700℃の間で熱処理することにより六方晶フェライトが結晶化した。保磁力は50 Oe程度となり、もともとハード材料となる組成としては、かなり小さい値を示した。複素透磁率を測定したところ、0.5GHzから3GHzにかけて、複数の大きな比透磁率ピークを持つ膜が作製できた。図1に複素透磁率(実部と虚部)の周波数依存性を対数プロットで示す。大きさで20を超えるピークを持つ複数のピークを示す特性が得られた。このようなピークは、強磁性共鳴に現れるスピン波に見られる傾向であり、これらのピークが強磁性の自然共鳴によるものとすれば、3GHzまでの周波数帯で、電磁波が共鳴吸収を通して、磁気共鳴が誘起されたと考えられる。この組成物質は、少なくとも3GHz帯までの電磁波吸収材として期待できる。

4.その他・特記事項(Others)
利用装置名:高周波透磁率測定装置

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 「チタン・マンガン置換型バリウムフェライト薄膜の作製および磁気特性評価」坪井泉名 2016年度先進セラミックス研究センター成果報告会、2017年2月28日、多治見.

6.関連特許(Patent)
無し

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