利用報告書

フェロセンナノドットの57Feメスバウワー分光測定
櫻井亮
国立研究開発法人 物質・材料研究機構

課題番号                :S-20-NI-0022

利用形態                :共同研究

利用課題名(日本語)    :フェロセンナノドットの57Feメスバウワー分光測定

Program Title (English) :57Fe Mossbauer spectroscopy of ferrocene nanodots

利用者名(日本語)      :櫻井亮

Username (English)     : M. Sakurai

所属名(日本語)        :国立研究開発法人 物質・材料研究機構

Affiliation (English)  :National Institute for Materials Science

 

 

1.概要(Summary )

図1 各温度でのメスバウワースペクトル

有機金属錯体分子を表面に並べて2次元システムを構築して、新しい機能を探索している。2次元システムを構成するナノドットを構成する分子に含まれる鉄イオンの状態を低温メスバウワーを用いて調べた。

 

2.実験(Experimental)

温度可変チャンバーに試料を設置し、ガンマ線源として57Fe核用の57Co密封線源を利用した57Feメスバウワー分光装置(担当:壬生攻教授)を用いて、ガンマ線共鳴吸収スペクトル(メスバウアースペクトル)を計測した(図1)。5K―15Kの低温領域で分子に含まれるFeイオンの内部磁場やイオン価の情報を得た。磁気分裂サブスペクトルについては,線幅がブロードで,ローレンツ曲線ではフィッティングの精度が悪いため,フォークト曲線(ローレンツ曲線 Ä ガウス分布)によるフィッティングを採用した。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

1)5Kから15Kまでと室温のメスバウワースペクトルを図1に示す。

2)スペクトルは,定性的には前回報告のAF70試料およびAF95試料と同様の温度変化を示す。試料中のFeの環境は,かなり不均一である。

3)上記2つの試料と同様,磁化測定の結果から推測される磁気転移温度より高い温度でも磁気分裂したスペクトル成分が残り,磁化測定で決めた磁気転移温度以上まで,時間的にゆっくり揺らぐ短距離磁気秩序が残っていることを示唆している。

4)10 Kにおける磁気秩序成分の割合はAF95試料,AF70試料,AF05試料の順で少なくなり,磁気転移温度もこの順で低下しているようにみえる。

 

4.その他・特記事項(Others)

なし

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

なし

 

6.関連特許(Patent)

なし

 

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