利用報告書

ヘテロ原子を用いた低分子合成
野元昭宏1)
1) 大阪府立大学大学院工学研究科

課題番号                :S-20-NU-0005

利用形態                :技術代行

利用課題名(日本語)    :ヘテロ原子を用いた低分子合成

Program Title (English) :

利用者名(日本語)      :野元昭宏1)

Username (English)     :

所属名(日本語)        :1) 大阪府立大学大学院工学研究科

Affiliation (English)  :

 

 

1.概要(Summary )

次世代に必要な材料合成に求められるのは、原子効率が高い反応が重要な要素の一つと考えられる。決してきれいごとではなく、これを無視すれば検査・無害化・補償などに膨大なコストが必要になり、結果的に製造へのハードルが大きく上がってしまう。このような観点から、我々はラジカル付加反応に注目している。ラジカル反応は「効率は良いものの、制御が困難である」というのが一般的な考えであろう。しかしながら、反応系を十分に調べ、設計、選択すれば高い利点を有するラジカル反応系の構築が可能であることを我々は報告してきた。

そこで本研究では、含リン化合物のラジカル反応性に着目し、炭素-炭素不飽和結合に対し、リン、イオウ、酸素などのヘテロ元素を複合したラジカル付加反応の開発に取り組んだ。

 

2.実験(Experimental)

Ph2P(O)PPh21, 0.6 mmol)と各種アルキン(2, 0.4 mmol)を、不活性(アルゴン)雰囲気下でCDCl3またはベンゼン(市販の超脱水溶媒)を入れたシュレンク管に入れ、開始剤としてV-40を混合物に加え、80 ℃で22時間撹拌した。 反応が完了した後、イオウ(3当量)を不活性雰囲気下で加え、次に混合物を60 ℃で6時間撹拌して、安定な付加生成物(3)を得た。精製はシリカゲルカラムにより行い、溶離液としてイソヘキサン(またはn-ヘキサン)/AcOMe(またはAcOEt)を使用することで、目的物質を単離した。

生成物については、名古屋大学分子・物質合成PFに依頼し、質量分析装置(Bruker社製MALDI TOF MS autoflex maX)による分子質量の計測、赤外吸収分光装置(JASCO社製FT-IR 680 Plus)によるP=O結合、P=S結合のスペクトル観測によって同定した。

3.結果と考察(Results and Discussion)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電子求引性置換基が三重結合に直接結合するアルキン(3h)や、リンと反応可能な—OH基を持つ基質(3f)では反応は進行しなかった。しかし、多くのアルキン誘導体において反応が進行し、対応する付加生成物が良好な収率で得られ、ヘテロ原子を複合した低分子の合成が可能であることが示された。

 

4.その他・特記事項(Others)

本研究は名古屋大学の坂口佳充機器コンシェルジュ、鳥居実恵技術職員、伊藤始技術支援員の御協力により推進されました。深く御礼申し上げます。

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

田中遼, 野元昭宏,小川昭弥 他,「光照射によるリン-カルコゲン結合化合物の環境調和型合成法の開発と合成化学的応用」,第47回有機典型元素化学討論会, 令和2年12月4日.

 

6.関連特許(Patent

なし。

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