利用報告書

ペプチドオリゴマー分子のESR距離測定
森本淳平1), 福田泰啓1), 渡邊拓夢1), 浅田瑞枝2), 中村敏和2)
1) 東京大学大学院工学研究科, 2) 分子科学研究所

課題番号 :S-18-MS-1094
利用形態 :協力研究
利用課題名(日本語) :ペプチドオリゴマー分子のESR距離測定
Program Title (English) :
利用者名(日本語) :森本淳平1), 福田泰啓1), 渡邊拓夢1), 浅田瑞枝2), 中村敏和2)
Username (English) :J. Morimoto1), Y. Fukuda1), T. Watanabe1), M. Asada2), T. Nakamura2)
所属名(日本語) :1) 東京大学大学院工学研究科, 2) 分子科学研究所
Affiliation (English) :1) Graduate school of Engineering, Tokyo University, 2) Institute of Molecular Science

1.概要(Summary )
パルス電子-電子二重共鳴(DEER/PELDOR)法は、電子スピン共鳴法(ESR)を用いた測定手法の一種で、試料中のスピン間の距離をよい精度で測定することができる。DEER測定結果について、Tikhonov regularizationプログラムを用いた解析を適用することにより、各距離がどれだけの分布幅を持っているか(距離分布の形)を解析できる。
本研究では、ペプチドオリゴマー分子の両端にスピンラベルを導入し、DEER測定により距離と距離分布を調べることにより、試料の剛直性を確認する。通常のペプチド分子と異なる特性を持つ分子を設計し、生体安定性および生体膜透過性の向上などを目指すことを目的とする。

2.実験(Experimental)
ペプチドオリゴマー分子の両末端にスピンラベルを結合させた。まずBruker E500を用いてCW-ESR測定を行い、スピンラベルの信号強度を比較し、試料中のスピン濃度を見積もった。TEMPOは安定したニトロキシドスピンラベルであり、質量からラベル濃度を決定できる。TEMPO 100μM溶液と比較することで、絶対的なサンプル中のスピンラベル濃度を定量し、ペプチドオリゴマー分子に結合したスピンラベルの溶液中での安定性を調べた。また、Bruker E680を用いたパルスDEER/PELDOR法により、オリゴマー末端間の距離測定を行った。DEERAnalysisプログラムによるTikhonov regularizationを適用し、距離および距離分布を解析した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
スピンラベル濃度はペプチド分子の20-100%であった。DEER測定可能な濃度であることが分かった。スピンラベル濃度が低下する原因として、室温溶液中で長時間経過したことや、ラベル結合率が低いことが挙げられる。
DEER測定により得られた距離および距離分布から、ペプチドオリゴマー分子の剛直性について確認できた。ラベル間の距離分布が試料Iでは5Åであるのに対し、試料IIでは8Åとなり、試料Iが距離分布が小さいことから、剛直であることが示された。

4.その他・特記事項(Others)
なし

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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