利用報告書

ペロブスカイト系新物質の57Feメスバウアー分光測定
山本隆文1), 長瀬鉄平1)
1) 東京工業大学 フロンティア材料研究所

課題番号                :S-20-NI-0037

利用形態                :技術代行

利用課題名(日本語)    :ペロブスカイト系新物質の57Feメスバウアー分光測定

利用者名(日本語)      :山本隆文1), 長瀬鉄平1)

Username (English)     :T. Yamamoto1), T. Nagase1)

所属名(日本語)        :1) 東京工業大学 フロンティア材料研究所

Affiliation (English)  :1) Institute for Innovative Research, Tokyo Institute of Technology

 

 

 

1.概要(Summary )

弊研究室で発見した新規鉄系ペロブスカイト型酸化物のメスバウアー分光装置を用いることにより、各サイトの鉄の状態(価数や占有率、内部磁場等)の情報を得た。また、様々な温度で測定することにより、鉄の状態が温度によって、どのように変化するのかを調べた。

 

2.実験(Experimental)

試料200 mgをシリコーン製真空グリースと練り合わせて、高純度Al箔に挟み込んだ。メスバウアー分光装置を用いて、通常の透過法により300 K, 200 K, 78 Kで57Feメスバウアースペクトルを測定した。線源のドップラー速度範囲は ±12 mm/sで、速度較正にはα-Feを使用した。測定時間は300 Kで45時間、200 K, 78 Kで24時間である。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

本測定の結果及び解析結果を図1に示す。図1のように、測定したスペクトルは3組の磁気分裂サブスペクトルでフィッティング可能であった。このことから、Feは3種類のサイトを持ち、室温で磁気秩序していることが分かる。

アイソマーシフトの値から、サブスペクトル緑・青は3価のハイスピンで酸素と八面体配位を形成していることが分かる。また、サブスペクトルピンクは他の二つに比べて値が小さくなった。これは、このサイトのFeが他の二つとは配位状況が異なり、四面体的になっていることや価数が4価的になっていることを示唆していると考えられる。

低温において、内部磁場の増加に伴うピーク間隔の増大が確認できる。各温度の内部磁場の値が、78 Kでおよそ5 μB、300 Kで3 μBであることから、およそ、400 ~ 500 Kに磁気転移温度があると推測される。

 

図1メスバウアー分光の測定結果及び解析結果。磁気分裂した3種類のスペクトルによって、フィッティング可能である。

 

4.その他・特記事項(Others)

なし

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

なし

 

6.関連特許(Patent)

なし

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