利用報告書
課題番号 :S-16-CT-0012
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :ポリイミド粒子分散実験
Program Title (English) :Experiements on the Dispersibility of Polyimide Particles
利用者名(日本語) :岡本 拓也1)
Username (English) :Takuya Okamoto1)
所属名(日本語) :1) 株式会社常光
Affiliation (English) :1) Jokoh, Co., Ltd.
1.概要(Summary )
ジェットミルとは、物体を粉末状に粉砕する装置の中でも、ノズルから噴射される高圧の空気や蒸気を超高速ジェットとして粒子に衝突させ、粒子どうしの衝撃によってナノメートルレベルの微粒子にまで粉砕する装置のことである。ジェットミルは粉砕による温度上昇が比較的少ないため、融点の低い物質の粉砕に適しており、食品、医薬品、印刷用トナーなどの製造に用いられている。
平成27年度の分子・物質合成支援で合成されたポリイミドマイクロ粒子(支援番号S-15-CT-0066)の直径は数マイクロメートルであり、表面にナノ粒子も存在することがわかった。ポリイミドの重合プロセス中、溶液との相分離が起こり、粒子の形でポリイミドは沈殿する。しかし、粒子の内部構造は走査型電子顕微鏡では観察できない。さらに、表面のナノ粒子とコアのマイクロ粒子の結合も不明である。ジェットミル装置を用いて、この2点を明らかにした。
図1:ポリイミドマイクロ粒子の電子顕微鏡写真(左)。マイクロ粒子の表面のナノ粒子の拡大写真(右)。
2.実験(Experimental)
平成27年度、合成に成功したポリイミドマイクロ粒子を水/エタノール混合液に分散、ユニット径φ150 µm湿式ジェットミル装置を用いて50~150 MPaの圧力で粉砕処理を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図2はジェットミル処理によって起こる劣化プロセスの説明である。高圧、高速度の状態ではマイクロ粒子の表面に存在するナノ粒子は脱着し、マイクロ粒子のコア粒子も分割される。電子顕微鏡写真により、脱着したナノ粒子を観察することができた。さらに、コア粒子はポリイミドのナノ結晶でできていることもわかった。
図2:コアーシェル構造のポリイミドマイクロ粒子のジェットミルによる劣化プロセスの概念図(左上)。脱着されたナノ粒子(右上)および劣化したコア粒子の内部構造(下)を示す電子顕微鏡写真。
4.その他・特記事項(Others)
謝辞
本研究の遂行にあたりまして、マイクロ粒子の合成、ジェットミルによる分散、FE-SEMによる観察等の全ての面において指導と協力をいただいた千歳科学技術大学のカートハウス オラフ先生に感謝の意を表します。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







