利用報告書

ポリビニルアルコールの構造解析
金里脩平1), 木村佳弘1)
1) 日本酢ビ・ポバール株式会社

課題番号 :S-17-JI-0059
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :ポリビニルアルコールの構造解析
Program Title (English) :Structural analysis of poly (vinyl alcohol)
利用者名(日本語) :金里脩平1), 木村佳弘1)
Username (English) :S. Kanesato1), Y. Kimura1)
所属名(日本語) :1) 日本酢ビ・ポバール株式会社
Affiliation (English) :1) JAPAN VAM & POVAL CO.,LTD.

1.概要(Summary )
 ポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを鹸化することで得られる水溶性の高分子である。
 弊社では、ポリ酢酸ビニルの重合時に、種々の官能基を有するモノマーを共重合させることで、新たな機能を有する変性ポリビニルアルコールの開発を行っている。
 ところで、ポリビニルアルコールの構造を決定する手法として、核磁気共鳴 (NMR) を用いる方法が古くから知られている。しかし、弊社が所有するNMR測定装置は十分な分解能を有していないため、構造解析を行えないサンプルがいくつかあった。
 そこで、強力な磁場強度を持つAVANCE III 800 MHz (Bruker Biospin Inc.) を用いて、変性ポリビニルアルコールの構造解析を行うことにした。
 AVANCE III 800 MHzを用いて測定を行ったところ、S/Nや分解能が良いスペクトルが得られ、これらのサンプルについても微細構造を決定することができた。

2.実験(Experimental)
 北陸先端科学技術大学院大学に設置してあるAVANCE III 800 MHz (Bruker BioSpin Inc.) を用いて、1H・13C NMRの一次スペクトルやCOSY・HSQCなどの二次スペクトルの測定を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 AVANCE III 800 MHzで測定した1H-13C HSQCスペクトルをFigure 1に示す。
 Figure 1に示したように、AVANCE III 800 MHzで測定したスペクトルは非常に分解能が高く、各ピークの相関関係がはっきりと見て取れる。
 1H, 13C NMRや1H-1H COSYでも同様の結果が得られており、弊社が所有するNMRでは重なってしまったピークも綺麗に分かれていた。
 これらのスペクトルを用いることで、構造解析が難しいサンプルについても微細構造を決定することができた。

Figure 1. ポリビニルアルコールの1H-13C HSQCスペクトル (AVANCE III 800 MHzで測定)。

4.その他・特記事項(Others)
 NMR測定は、北陸先端科学技術大学院大学・大木進野教授に行っていただきました。この場を借りて深く感謝申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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