課題番号（Application Number）：S-15-NR-0015
利用形態（Type of Service）：技術代行
利用課題名（日本語） ：ポルフィリン超分子ナノ構造体の構造解析
Program Title (English) ：Structural Analyses of Supramolecular Porphyrin Nanostructures
利用者名（日本語） ：森末光彦
Username (English) ：M. Morisue
所属名（日本語） ：京都工芸繊維大学分子化学系
Affiliation (English) ：Kyoto Institute of Technology

１．概要（Summary）
課題申請者らは, 二重鎖形成能を有するポルフィリンアレーを駆使した形状制御したナノ構造制御技術の開発を行っている[1]. ポルフィリン二重鎖は高い結合定数をもつとともに剛直なロッド状構造であることから, これらを構成ユニットとして超分子ポリマー化することで, 直線状に形状制御しながら一次元に伸長することができる. すでに透過型電子顕微鏡観察(cryo-TEM)によって, マイクロメートルサイズにおよぶ直線状の構造形成を明らかにした. 一方, 分子量を直接観察することは従来法では困難であり, 放射光を利用した溶液中での小角X線散乱(SAXS)と, DOSY NMRを組み合わせることにより, 超分子ポリマーが濃度上昇にともなって伸長することを明らかにした.

Scheme 1. Supramolecular polymerization of 1 through double-strand formation.

２．実験（Experimental）
重トルエン溶媒中で, 化合物1のDOSY NMR (JNM-ECX400, JEOL)から拡散係数の濃度依存性から, 溶液中のナノ構造体のサイズ情報を得た.

３．結果と考察（Results and Discussion）
DOSY NMRの結果, 濃度上昇にともない化合物1の拡散係数は減少した. またSAXSでは同様に濃度上昇にともなって線状構造が伸長する傾向が観察され, 超分子ポリマーの伸長が起こっていることがわかった. この結果はcryo-TEMにより観察されたマイクロメートルサイズの繊維状構造体の形成と矛盾しない. 超分子ポリマーは, 一般的な共有結合性高分子の分子量評価手法の適応が困難であるが, DOSY NMRを含む種々の観察手法を組み合わせることで, 超分子ポリマーの直線状形態制御を証明できた.

４．その他・特記事項（Others）
[1] M. Morisue, Y. Hoshino, K. Shimizu, M. Shimizu, Y. Kuroda, Chemical Science, Vol. 6 (2015), pp. 6199–6206.

５．論文・学会発表（Publication/Presentation）
(1) ○森末光彦, 星野佑紀, 清水正毅, 上村忍, 櫻井伸一, 第64回高分子討論会（東北大学）, 平成27年9月17日.
(2) ○森末光彦, 星野佑紀, 清水正毅, 上村忍, 櫻井伸一, 第64回高分子年次大会（札幌コンベンションセンター）, 平成27年5月28日.
(3) ○森末光彦, 高分子学会関東支部： 第31回群馬・栃木講演会（群馬大学理工学部・桐生キャンパス）, 平成28年3月8日.
(4) ○森末光彦, 科研費新学術領域「元素ブロック高分子材料の創出」第7回公開シンポジウム（東京ビッグサイト）, 平成28年1月29日.
(5) ○森末光彦, 15-1無機高分子研究会（和光純薬工業湯河原研修所）, 平成27年10月2日.
(6) ○森末光彦, International Conference on Novel Nanomaterials (ICON2)（Synchrotron SOLEIL, Paris, France）, 平成27年9月11日.

６．関連特許（Patent）
なし。