利用報告書

マイクロチャンバーを利用した細胞融合系の確立
長沼麻衣、 熊崎泰成、坪内知美
基礎生物学研究所 幹細胞生物学研究室

課題番号 :S-19-MS-3006b
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :マイクロチャンバーを利用した細胞融合系の確立
Program Title (English) :Establishment of cell-fusion system using microchamber
利用者名(日本語) :長沼麻衣、 熊崎泰成、坪内知美
Username (English) :Mai Naganuma, Taisei Kumazaki, Tomomi Tsubouchi
所属名(日本語) :基礎生物学研究所 幹細胞生物学研究室
Affiliation (English) :National Institute for Basic Biology

1.概要(Summary )
本研究では体細胞に分化多能性が導入される過程における核内動態を明らかにすることを目的としてマイクロチャンバーを用いた細胞融合系の確立を目指している。一般的に用いられているiPS法は少数の多能性制御因子を強制発現するだけの非常に簡便な系であるが、低効率で時間もかかるため、多能性誘導過程を追跡することが困難である。これに対し細胞融合法では多能性因子の発現が10%程度の融合細胞について短期間に起こるため、多能性誘導の初期過程を追跡するのに有効である。ただ、細胞融合効率が低いために、融合細胞の特定が困難である。そこで本研究ではマイクロチャンバーを用いることで狙った細胞同士の1:1融合を高効率で達成する。マイクロチャンバーは既に実績のあるデザインを基盤として、目的に応じたデザインに改変する。このことで多能性誘導過程の一細胞解析が可能になるだけでなく、iPS法に並ぶ多能性誘導系として細胞融合系が確立されることが期待される。
2.実験(Experimental)
リソグラフィ技術でマイクロ流路の鋳型を作成する。今年度から材質をネガ型レジスト(SU-8)に変更し、手法も1.マスクレス露光装置を使用したフォトマスクの作成(スピンコーター他リソグラフィ関連設備の利用) 2.マスクアライナーを用いた基盤への露光 3.レジストの溶出 と変更した。この鋳型にPDMSを流し込みマイクロ流路部分を作成し、細胞が導入できるように吸い口を作成した。これを、スパッタ装置を使って電極としてアルミ蒸着したプレート上に吸着させた。出来上がった流路に細胞を導入し、電気をかけることで電気融合を試みた。

3.結果と考察(Results and Discussion)
レジストの種類をポジ型レジストPMER P-HA 1300PM→ネガ型レジストSU-8に変更することで、問題だったテーパー構造を回避することができた。また、尖った構造を回避し、ひし形の形状に変更した。細胞融合面になるスリット幅は1-2umである必要がある。しかしながら、今回の試みではスリット幅を狭めると鋳型の底に近い部分にブリッジ構造ができる傾向があった。また、様々なスリット幅でデザインすると、狙った幅になることもあったが、同じ条件でも再現良く狙ったスリット幅を得ることができなかった。今年度より施設利用に切り替え多くのことを初めて試みてきたので、次年度も引き続き作成を試みることで技術の熟練を目指したい。
並行して、スパッタ装置を使って異なる厚みの電極を作成してきた。それぞれの電極を使って融合効率・生存率の違いを評価する。また、融合効率、生存率を精査し、最もパフォーマンスの良い形状やスリット幅を決定していく。
4.その他・特記事項(Others)
(参考文献)
Techaumnat et al., 2008 IET Nanobiotechnol., 2(4) 93-99
(謝辞)
東京大学工学部鷲津研究室
装置開発室 高田紀子技術職員
(株)ネッパジーン
さきがけ「ゲノム合成」JPMJPR18K8
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし

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