利用報告書

マイクロ流体培養系を用いたマウス精巣組織ライブイメージング系の確立
佐藤俊之1)
1) 自然科学研究機構 基礎生物学研究所 生殖細胞研究部門

課題番号 :S-16-MS-3007
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :マイクロ流体培養系を用いたマウス精巣組織ライブイメージング系の確立
Program Title (English) :Establishment of live imaging system for mouse testes tissue using microfluidic devices
利用者名(日本語) :佐藤俊之1)
Username (English) :T. Sato1)
所属名(日本語) :1) 自然科学研究機構 基礎生物学研究所 生殖細胞研究部門
Affiliation (English) :1) Division of Germ Cell Biology, National Institute for Basic Biology, National Institutes of Natural Sciences,

1.概要(Summary )
本研究は、マウス精巣における精子幹細胞およびその子孫細胞の動態を明らかにするため、器官培養系と組み合わせた精巣組織ライブ観察系を確立することを目的とする。
そのため、協力者の小川ら(横浜市大)が開発したマイクロ流体器官培養系を応用し、ライブイメージングに適した培養装置を開発した。培養装置の作製にはプラズマボンディングの工程が必須であり、分子科学研究所・装置開発室にあるプラズマクリーナー(PDC-32G)を用いて接着を行った。

2.実験(Experimental)
培養装置の作製のうち、マイクロ流路の刻まれたPDMS流路チップと多孔質膜との接着の工程を分子科学研究所・装置開発室にて行った。
具体的には、以下の手順。
1. 多孔質膜をプラズマクリーナー(PDC-32G)チャンバーにいれ、チャンバー圧150mTorrまで減圧。
2. 02ガスをチャンバー内に導入。チャンバー圧1000mTorrで1min。
3. プラズマをhighで20sec当てる。
4. 多孔質膜を1%アミノシラン溶液に30min以上浸漬する。その後、超純水で2,3回洗浄する。
5. PDMSチップの流路面に同様の条件でプラズマを当てる。
6. PDMSチップの流路面に多孔質膜を貼り、乾燥させる。

3.結果と考察(Results and Discussion)
前述の条件で、PDMS流路チップと多孔質膜との良好な接着を得られた。その他の工程を経て、培養装置の作製に成功した(下図)。
現在、作製した培養装置で、培養・観察条件を検討中である。

図:作製した培養装置

4.その他・特記事項(Others)
参考文献
Komeya M et al. Long-term ex vivo maintenance of testis tissues producing fertile sperm in a microfluidic device. Scientific Reports (2016)

謝辞
装置の利用に際し、分子科学研究所技術課装置開発室・高田紀子様にご支援いただきました。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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