利用報告書

モリブデン硫化物担持グラフェンオキサイドの化学状態の解明
橋本秀樹1)、 磯邉 清1) (1)関西学院大学理工学部)

課題番号 :S-20-MS-1049
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :モリブデン硫化物担持グラフェンオキサイドの化学状態の解明
Program Title (English) :Characterization of Molybdenum Sulfide Supported by Graphene Oxide
利用者名(日本語) :橋本秀樹1)、 磯邉 清1)
Username (English) :H. Hashimoto1)、 K. Isobe1)
所属名(日本語) :1)関西学院大学理工学部
Affiliation (English) :1) School of Science and Technology, Kwansei Gakuin University

1.概要(Summary )
私達が新たに合成したモリブデン硫化物担持グラフェンオキサイド複合体(MoSx/RGO (RGO:還元型グラフェンオキサイド))は、電気化学測定により、優れた水分解型水素発生反応(HER)の触媒として働くことが分かった。この複合体の高活性の原因を探るため、電子顕微鏡(SEM)、EDX (energy-dispersive X-ray)及び透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、複合体のモルフォロジー並びに活性中心のMoSxの組成、Mo原子の酸化状態、S原子の結合状態に関するデータを収集した。得られたデータの解析により高活性の要因が、Mo(IV)とジスルフィド(S2)基を有する高分散化したアモルファスMoSxにあることを明らかにした。
2.実験(Experimental)
SEM: Hitachi SU6600 低真空走査電子顕微鏡、EDX: Bruker-AXS QUANTAX XFlash 5060FQ、TEM: JEOL JEM-21OOF(accelerating voltage 200 kV)
3.結果と考察(Results and Discussion)
複合体MoSx/RGOのモルフォロジーは鱗片状のものが重なったもので、MoSxが広範囲に分散していることを見出した。複合体の形状を図1に模式的に示した。

SAED (selected area electron diffraction) による格子パターンが観察されず、MoSxはアモルファス状態であることが分かった(図2参照)。このことは、XRD測定からも支持された。さらにMoSx のxが ≈ 3.5であることも明らかにした。そしてこの複合体の高活性の要因は「触媒中心のMoSxがアモルファスで広範囲に分散し、Mo(IV)とジスルフィドS2基により、形成されていること」であると結論付けた。

4.その他・特記事項(Others)
SEM(EDX)、TEMの測定は石山修及び伊木志成子両技官に協力いただいた。深く感謝しております。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
Yoshihiko Sera, Shota Seto, Kiyoshi Isobe, Hideki Hashimoto:
Development of highly active hydrogen evolution reaction (HER) catalysts composed of reduced graphene oxide and amorphous molybdenum sulfides derived from (NH4)2MoOmS4-m (m  =  0, 1, and 2):
Journal of Photochemistry and Photobiology A: Chemistry, Volume 401, 1 October 2020, 112793

6.関連特許(Patent)
なし。

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