利用報告書

ラマンイメージングを用いたカーボンナノチューブ/グラフェンナノリボン混合体の マイクロスケール分類
宇佐美 雄生1),2), 田中 啓文1),2), Wahyu Waskito Aji1)
九州工業大学大学院生命体工学研究科, 2) 九州工業大学Neumorphセンター

課題番号 :S-20-KU-0006(試行的利用 採択No.7)
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :ラマンイメージングを用いたカーボンナノチューブ/グラフェンナノリボン混合体の
マイクロスケール分類
Program Title (English) :Microscale classification between carbon nanotube and graphene nanoribbons by Raman imaging
利用者名(日本語) :宇佐美 雄生1),2), 田中 啓文1),2), Wahyu Waskito Aji1)
Username (English) :Yuki Usami1),2), Hirofumi Tanaka1),2), Wahyu Waskito Aji1)
所属名(日本語) :1) 九州工業大学大学院生命体工学研究科, 2) 九州工業大学Neumorphセンター
Affiliation (English) :1) LSSE、Kyushu Institute of Technology, 2) Neumorph Center, Kyushu Institute of Technology

1.概要(Summary )
グラフェンナノリボン(GNRs)は、その大きさや吸着分子によって金属性と半導体性に変換できること、また容易に作製できることから大きく注目されている。我々のグループではこれまでに、単層カーボンナノチューブ(CNT)を開裂させ単層GNRsを安定的に得る方法を確立している。しかしながら、作製したGNRsとCNTの残滓をどのように分離するかが大きな課題であった。最近、電気泳動法を用いて、高効率にGNRsとCNTを電極表面上に集積することに成功した。この手法を展開してCNTとGNRsの分離手法を開発、さらに電極間の分子架橋によるデバイス創製を実現するために、本研究では、ラマンイメージング法を用いて、電極間に架橋された単層カーボンナノチューブ(CNT)/グラフェンナノリボン(GNRs)複合体の構成割合及び電子状態を明らかにする。
2.実験(Experimental)
利用した装置:高速レーザーラマン顕微鏡
開裂剤であるPmPVを用いてジクロロエタン溶媒中で超音波分散させることでCNTを開裂させ、CNT/GNRs混合液を得た。マイクロギャップの電極間に混合液を滴下した後に交流電圧を印加する電気泳動法によってCNT/GNRsを架橋させた。レーザーラマン顕微鏡を用いて架橋しているCNTおよびGNRsの有無を調べ、交流周波数の変化との相関を検討した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
カーボン材料で現れるD,Gバンドピークをラマンスペクトルで確認し、電気泳動によって電極間のCNT/GNRsの架橋に成功した。CNTの特徴的なラマンピークであるRadial breathing mode(RBM)のピーク付近のラマンスペクトルを図1に示す。図1から、13MHz以上ではRBMのピークが消失していることが明らかになり、GNRsのみが電極間に架橋されていることが明らかとなった。この結果は電気泳動法の理論計算から算出された34.7MHzと同程度の値である。この結果によって、条件を選べばGNRsのみを電極間に架橋できる技術が確立され、ナノデバイスへの応用が期待できる。

4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
論文: Wahyu Waskito Aji, Yuki Usami, Hadiyawarman, Rikuto Oyabu and Hirofumi Tanaka, Appl. Phys. Express 13, 101004 (2020).
他学会発表2件
6.関連特許(Patent)
なし

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