利用報告書

リン吸着剤のナノサイズ化
羽深昭1),古屋謙治1),山村寛1),佐藤久2)
1) 中央大学理工学部, 2) 北海道大学大学院工学研究院

課題番号 :S-16-CT-0080
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :リン吸着剤のナノサイズ化
Program Title (English) :Nano sizing of phosphorus adsorbent
利用者名(日本語) :羽深昭1),古屋謙治1),山村寛1),佐藤久2)
Username (English) :A. Hafuka1), K. Furuya1), H. Yamamura1), H. Satoh2)
所属名(日本語) :1) 中央大学理工学部, 2) 北海道大学大学院工学研究院
Affiliation (English) :1) Faculty of Science and Engineering, Chuo University, 2) Faculty of Engineering, Hokkaido University

1.概要(Summary)
本研究グループでは下廃水を膜ろ過することで、懸濁物質除去とリン吸着を同時に行うことが可能な新規水処理膜の開発に取り組んでいる。そこで、過去に本研究グループで開発したリン吸着剤である硫酸ジルコニウム-界面活性剤ミセルメソ多孔体(zirconium sulfate surfactant micelle mesostructure: ZS)を高分子膜に担持させ、機能性膜の作製を行うことにした。ZSは粉末状の吸着剤であるが、高分子に担持させるZSの粒子径をより小さくすることで、比表面積が増加し、作製する機能製膜のリン吸着容量が向上すると考え、湿式ジェットミルによるZSの微細化を行った。

2.実験(Experimental)
ZSは既報に従って合成した1。合成したZSを乾燥後、メノー乳鉢で粉砕し、さらに目開き63 μmのふるいにかけた。微細化を行うため、ふるい後のZSを湿式微細化装置(湿式ジェットミル; ナノジェットパルJN20)で粉砕した。ジェットミルの効果を明らかにするため、ジェットミル前後のZS粒径分布をナノ粒子径分布測定装置により測定した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
湿式ジェットミルによる粉砕前後のZS粒度分布を図1に示す。図1からジェットミル後の粒子径ピークが左側にシフトし、粒子径が小さくなったことが分かった。平均粒子径はジェットミル前には30.1 μmであったが、ジェットミル後には11.2 μmとなり、平均粒子径がおよそ3分の1程度まで微細化したことが明らかとなった。以上の結果から湿式ジェットミルがZSの微細化に有効であることが明らかとなった。

図1.湿式ジェットミル実施前後のZS粒子径分布

4.その他・特記事項(Others)
本研究の一部は、JSPS 科研費(25249073)の助成を受けたものです。本研究は中央大学・羽深昭助教および山村寛准教授との共同研究として行われました。湿式ジェットミルの技術代行にあたり、千歳科学技術大学のOlaf Karthaus教授に丁寧なご支援を賜りました。ここに記し感謝の意を表します。

参考文献
1)Pitakteeratham et al., 2013. Water Research 47 (11), 3583-3590.

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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