利用報告書
課題番号 :S-20-NR-0042
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :不織布化したポリエステルの配向解析技術の開発
Program Title (English) :Development of Orientation Analysis Technique for Polyester in Nonwoven Fabrics
利用者名(日本語) :沖田祐介1)
Username (English) :Y. Okita1)
所属名(日本語) :1)ユニチカ株式会社 中央研究所
Affiliation (English) :1)Unitika, Co., Ltd. R&D Center
1.概要(Summary )
スパンボンド不織布は連続繊維を熱エンボスすることによって作られる布状の資材である。スパンボンド不織布の物性は繊維の非晶・結晶配向にも大きく影響されるが、熱エンボス過程や使用環境下での経時変化によってそれらが変化することが考えられる。
繊維の配向は固定ジグに巻き付けた後の繊維図形測定によって評価できるが、スパンボンド化した後では構成繊維の単離が困難であるため、ある程度の幅を持ってジグに巻き付けることが出来ず配向の評価が難しい。
今回、微小スポットに集光できる単結晶X線回折装置を利用することで、スパンボンド構成繊維の繊維図形測定ができないか検討を行った。
2.実験(Experimental)
測定は単結晶X線回折装置(VariMax RAPID RA-Micro7(リガク社製))を用い、Mo管球(電圧:50kV, 電流:24mA)で測定した。検出には湾曲イメージングプレートを用い、露光時間5minとした。
試料はポリエチレンテレフタレート(PET)製不織布より切り出した一本の繊維(約20μm径)をサンプルステージに鉛直になるようにシリコングリスで固定した。
得られた繊維図形は、IPAnalyzer(1)を用いて、散乱角測定および偏角測定を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
散乱角測定の結果、結晶性の高い繊維に関しては、繊維赤道方向の2θ=8°、10.5°、12°付近に、PET結晶に由来する(010), (1 ̅10), (100)の回折ピークが確認された(図1)。上記ピークの内、(1 ̅10)の偏角測定を実施した結果、1本の繊維であっても配向性を評価することが可能であった(図2)。
今回の結果で、スパンボンド不織布中の繊維の配向評価が可能であるということが示された。分析が可能となったことで、物性向上へのアクションが取れるようになる。
4.その他・特記事項(Others)
参考文献
1)瀬戸雄介・浜根大輔・永井隆哉・佐多永吉(2010).「X線回折実験における統合解析支援ソフトウェアの開発」『高圧力の化学と技術』20(3), pp.269-276
謝辞
上記結果を得るための測定はNAISTの技術職員 片尾氏に御担当いただいた。御礼申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし