利用報告書
課題番号 :S-20-KU-0019
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :二重コート膜ナノ粒子の合成と化粧品への社会実装研究2
Program Title (English) :Preparation of double coating nano particles and its commercialization as cosmetics.
利用者名(日本語) :金岡 奈美
Username (English) :Nami Kanaoka
所属名(日本語) :アドファーマ株式会社
Affiliation (English) :Advanced Pharma Japan INC.
1.概要(Summary )
通常、分子量の大きな親水性の成分は、皮膚バリアを透過しないが、ナノ粒子化することで皮膚内部へ浸透させることが可能となる。その結果、今まで化粧品として有効とされている成分でも高分子量であったため皮膚中へ浸透させることが困難だった有効成分を肌深く浸透させることが可能となる。今回の共同研究では、このナノ化技術を用いることで、これまで高分子量のため皮膚透過が困難と言われていたケラチンのナノ粒子化を試み、新たな化粧品配合の可能性を検討した。
2.実験(Experimental)
使用機器:ゼータサイザー電位・粒子径測定装置
新成分として、化粧品配合グレードのケラチン水溶液を用意し、界面活性剤を含有するシクロヘキサン溶液と混合し、W/Oエマルションを作成した。得られたW/O型のエマルションを凍結乾燥し、薄膜でコーティングされたケラチンナノ粒子を得た。
得られたナノコーティングケラチン粒子を、スクワランに溶解し、分散したケラチンの粒子系を、粒子径解析装置(DLS)で測定した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
W/O型エマルションを調製し凍結乾燥を行うと、界面活性剤によって被覆されたコーティング型キャリアが調製できる。このS/O粒子は疎水性のためにオリーブオイルやスクワランなどの油溶性の溶剤に溶解する。前回はこのナノ粒子をダブルコーティング型のキャリアに調整し、水溶性とした。ところが、今回のケラチンでは、ターゲットが毛髪および爪であったため、むしろ水溶性のダブルコーティング型より、従来のS/O型の方が良好な浸透結果が得られた。
DLSで解析した結果、ケラチンに対して20倍濃度の界面活性剤を用いることで、安定なナノ粒子(180nm)が得られることが明らかになった(図1)。
図1 SO技術によるケラチンのナノ粒子化
今後はさらに、開発したナノ粒子化ケラチンの毛髪浸透性を解析し、髪の奥まで浸透することを明らかにする予定である。また、爪美容液への展開も模索している。
4.その他・特記事項(Others)
本研究の成果は、シャンプーおよびリンスの新製品として、発売予定である。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
(1) 後藤雅宏、神谷典穂、田原義朗, “水溶性薬物キャリア及びその製造方法”, 特許第5618307号, US 8568745, 平成25年10月29日