利用報告書
課題番号 :S-16-JI-0012
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :亜臨界抽出した植物廃棄物の成分分析
Program Title (English) :Constitutional Analysis of Wasted Plant After Sub-critical Extraction
利用者名(日本語) :三宅幹夫1), アーマド カミル ハキミ ノル アスラム1), プラミラ エイピー タム
ナイド1)
Username (English) :Mikio Miyake1), Ahmad Kamil Hakimien Nor Aslan1), Pramila A/P Tamunaidn1)
所属名(日本語) :1) マレーシア工科大学, マレーシア日本国際工科院
Affiliation (English) :1) University Technology Malaysia, Malaysia-Japan International Institute
of Technology
1.概要(Summary)
FT-ICR MSは、超精密質量の分析が可能であり、複雑な混合物に含まれる成分の分子式を簡便に推定することが出来る非常に有効な分析法として注目されている。
マレーシアでは、ヤシの栽培が盛んであるが、老木や果実殻などの廃棄物による環境汚染が深刻な課題となっている。本研究は、こうした植物廃棄物を有効利用するため、植物廃棄物から亜臨界抽出法を用いて効率的に有用な成分を取得することを目的としている。今回は、ヤシに存在することが知られているポリヒドロキシアルカン誘導体(PHA)に着目して、抽出成分をFT-ICR MSにて分析した。なお、PHAは、食品パッケージ、食品添加物や化粧品成分として注目されている化学物質である。
2.実験(Experimental)
使用した分析装置は、FT-ICR MS Solarix-JA(Brucker Daltonics)で、正および負イオン測定をおこなった。イオン化法としては、エレクトロスプレー(ESI)およびマトリックス支援レーザー脱離(MALDI)を用いた。ESIの溶媒にはアセトニトリル、MALDIのマトリックスにはDHBを使用した。測定試料は、ヤシ樹液を硫酸溶液にて室温で抽出し、抽出物をアンモニア水溶液で中和後、水洗し、フリーズドライして調製した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1に、試料をMALDI-正イオンFT-ICR MS測定した結果を示す。1523.32050 Dに最大ピークが認められ、また、91~90 Dの質量差でパターンが類似した一連のピーク群が認められ、重合物の存在が推察できる。装置に付随したデータベースを用いて認められたピーク
の精密質量に一致する分子式の算定を試みたが、PHA誘導体とは一致しなかった。主ピークの分子量が奇数であり、窒素含有化合物の存在が示唆され、抽出処理中の溶剤が残存している可能性も示唆される。
図1試料のMALDI-正イオンFT-ICR MS測定結果
ESIを適用した場合には、MALDI-正イオンFT-ICR MS測定とは全く異なるスペクトルが得られた。また、正および負イオン測定でも異なり、負イオンの場合には、最大ピークは2755.86201 Dに認められ、高分子成分の検出が可能であった。現時点では、未だ分子式の同定には至っていない。
4.その他・特記事項(Others)
謝辞:
測定でお世話になった大坂講師、宮里技術職員に厚くお礼を申し上げます。
参考文献:
K. Miyabayashi, Y. Naito, M. Miyake, J. Jpn. Petrol. Inst., 52, 159-171 (2009)
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。







