利用報告書

低粘度自動車エンジンオイルのナノトライボロジー計測
神谷健人1),伊藤伸太郎1),張賀東2)
1)名古屋大学大学院工学研究科, 2)名古屋大学大学院情報科学研究科

課題番号 :S-16-NU-0027
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :低粘度自動車エンジンオイルのナノトライボロジー計測
Program Title (English) :Nanotribology measurement of low viscosity engine oils
利用者名(日本語) :神谷健人1),伊藤伸太郎1),張賀東2)
Username (English) :K. Kamiya1), S. Itoh1), H. Zhang2)
所属名(日本語) :1)名古屋大学大学院工学研究科, 2)名古屋大学大学院情報科学研究科
Affiliation (English) :1)Graduate School of Engineering, Nagoya University, 2) Graduate School of Information Science, Nagoya University

1.概要(Summary )
自動車エンジンの燃費向上のためには,エンジンオイルの高性能化が必須である.エンジンオイルには十分な潤滑性を確保しつつ,低粘度化が要求されている.これは摩擦抵抗を下げ,燃費を向上させるためである.ただし,低粘度化すると荷重を支える能力(負荷容量)が低下するため,相対運動する機械部品間の隙間が狭小化し,将来的にはナノメートルスケールとなることが想定されている.エンジンオイルの性能向上には種々の添加剤が用いられるが,このようなナノ隙間における添加剤の作用機構は未解明である.本研究では,独自開発したナノトライボロジー計測法により,ナノ隙間でせん断されるエンジンオイルの摩擦現象と添加剤の作用機構の解明を目的とする.
添加剤には,摩擦調整剤,粘度指数向上剤,清浄剤,極圧剤などがある.それぞれ異なる目的で用いられるが,本研究では代表的な添加剤として摩擦調整剤のひとつであるステアリン酸に着目する.ステアリン酸を潤滑油に添加すると,機械部品表面に吸着層を形成し,摩擦係数を下げる効果があることが知られている.ただし,ステアリン酸は潤滑油への溶解度が低いため,微粒子として油中に残存する可能性があり,ナノ隙間においてはその粒子サイズが無視できず,摩擦特性に影響を及ぼすことが想定される.そのため,ステアリン酸の粒径分布を測定し,摩擦特性との相関を明らかにすることを狙いとした.粒径分布の測定において,ナノテクノロジープラットフォームの粒径測定装置を利用した.
2.実験(Experimental)
エンジンオイルには主に炭化水素系の油が用いられるが,本実験では疑似エンジンオイルとしてヘキサデカンを用いることとした.ヘキサデカンにステアリン酸を濃度0.01Mで溶解したサンプルを作成し,粒径測定装置で粒径分布を測定した(使用装置:大塚電子社製ELSZ-2).
3.結果と考察(Results and Discussion)
代表的な測定結果を図1に示す.三回の測定において,粒径は平均20−40μmであった.測定時の温度は25℃とした.異なる温度で測定したところ,粒径分布の温度依存性があることが明らかとなった.ただし,計測毎の測定値のばらつきが大きかったため,今後は試料調整の改良を検討し,再測定を予定している.また,ステアリン酸以外の添加剤についても粒径測定を試みる予定である.

図1.ヘキサデカンにステアリン酸0.01Mを溶解した疑似エンジンオイルの粒径分布測定結果

4.その他・特記事項(Others)
なし.

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし.

6.関連特許(Patent)
なし.

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