利用報告書

光バイオセンサの研究
多田啓二
古野電気株式会社

課題番号 :S-16-OS-0006
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :光バイオセンサの研究
Program Title (English) :Development of optical biosensors
利用者名(日本語) :多田啓二
Username (English) :K.Tada
所属名(日本語) :古野電気株式会社
Affiliation (English) :Furuno Electric, Co., Ltd.

1.概要(Summary)
感染症は,特に重篤化の可能性が高い高齢者や乳幼児のために,早期に診断し適切な治療をおこなう必要がある.そこで我々は現在,フォトニクスデバイスを用いた感染症早期診断システムの研究開発をおこなっている.センサデバイスの作製・評価のために,大阪大学ナノテクノロジー設備共用拠点の設備を利用した.

2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
ナノ薄膜形成システム(EB蒸着),接触式膜厚測定器(段差計)
【実験方法】
導波路デバイスを作製し,導波路上に固定した抗体と検体中の抗原による抗原抗体反応を,屈折率変化により検出する.
これまでは3層の導波路デバイスを作製し,実験を行ってきたが,今回はより簡易なプロセスで作製できる2層の導波路デバイスを設計,試作した.

3.結果と考察(Results and Discussion)
プロセス簡易化のために,導波路の低屈折率材料に成型が容易な樹脂を,高屈折率材料に成膜が容易な金属酸化物を選定した.成膜はEB蒸着装置を,膜の厚み評価は段差計にて行った.以降,成果の一例について述べる.
EB蒸着の際,樹脂と金属酸化物の熱膨張率の違いによりクラックが発生し,導波光が散乱するという問題があった.そこで,①金属酸化物の材料検討,②成膜時冷却機構の導入,③バッファ層の導入という3つの方針で検討した.その結果,③の方法がその後の熱プロセスに対する耐性も含めて一番有効であることが分かった.Fig. 1にバッファ層なしの場合とありの場合の,成膜後表面の光学顕微鏡像を載せる.バッファ層ありの場合はクラックが改善していることが分かる.なお,色の違いは薄膜干渉によるものである.また,黒い長方形のものはグレーティングである.また,Fig. 2に導波後,空間に放射されたビームのCCD像及びそのプロファイルを載せる.散乱が少なく,ガウス形状を維持していることが分かる.

Fig. 1 Optical microscope image of device surface (a) without buffer layer (b) with buffer layer.

Fig. 2 (a) CCD image of outgoing beam from waveguide, (b) its profile.

4.その他・特記事項(Others)
・大阪大学ナノテクノロジー設備共用拠点のスタッフの皆様に感謝致します.
・関連する課題番号:F-16-OS-0007
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし.
6.関連特許(Patent)
なし.

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