利用報告書
課題番号 :S-20-NU-0015
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :光化学的アンモニア合成を指向した新規触媒の特性
Program Title (English) :Characterization of new catalyst for photochemical NH3 production
利用者名(日本語) :仲尾健一, 村松瑞帆, 猪股智彦
Username (English) :K. Nakao, M. Muramatsu, T. Inomata
所属名(日本語) :名古屋工業大学大学院工学研究科工学専攻
Affiliation (English) :Graduate School of Engineering, Nagoya Institute of Technology
1.概要(Summary)
光化学的に窒素をアンモニアに変換することを目指し、触媒分子としてRuイオンを中心金属として含有する金属錯体を新規に設計・合成した。また光増感色素として、色素増感太陽電池などで広く用いられているRu錯体色素を既知法に従って合成した。研究者等が所属する機関ではRuを含むサンプルの元素分析が行えないため、機器利用という形で全自動元素分析装置による2つのRu錯体の元素分析を依頼した。
2.実験(Experimental)
2つのRu錯体のサンプルについて、錯体1は触媒分子として新規に設計・合成した化合物である。錯体2は一般的にN719と呼ばれる増感色素であり、既知法により合成した1)。測定は全自動元素分析装置Perkin Elmer社製2400II CHNS/Oを用いて行った。アセトアニリドを標準物質とし、各サンプルに対してCHNおよびSの含有量を測定した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図1に本研究で測定を行った2つのRu錯体の構造を示す。また表1に各Ru錯体の元素分析測定結果と理論値を示した。錯体1は新規に設計・合成した錯体であり、ESI-MSスペクトル測定では錯体1の生成を示唆する結果が得られている。元素分析測定の結果、原料のRu錯体[Ru(DMSO)Cl2]を錯体1に対して1.5
図1 測定を行った各Ru錯体の構造模式図
当量加えて計算した場合に最もよい一致を示した(表1)。そのため原料のRu錯体を除くための精製操作が必要であることが判明した。一方、錯体2に関しては既知法における精製操作を少し改良したことで、3水和物として計算した場合によく一致した結果が得られた(表1)。したがって錯体2は高純度で合成されたことが判明した。
表1 各Ru錯体の元素分析測定結果
4.その他・特記事項(Others)
(参考文献)
1) Md. K. Nazeeruddin, S. M. Zakeeruddin, R. Humphry-Baker, M. Jirousek, P. Liska, N. Vlachopoulos, V. Shklover, Christian-H. Fischer, M. Grätzel, Inorg. Chem., 1999, 38, 6298-6305.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
1) ○仲尾健一、猪股智彦、小澤智宏、増田秀樹、光化学的アンモニア合成を目指した新規環状型二核Ru(II)錯体の合成と性質、第10回CSJ化学フェスタ(オンライン)、令和2年10月20-22日.
2) ○仲尾健一、猪股智彦、小澤智宏、増田秀樹、光による窒素活性化を目指したルテニウム錯体の合成と性質、日本化学会第101回春季年会(オンライン)、令和3年3月19-22日.
6.関連特許(Patent)
なし