利用報告書

光合成生物とその色素の吸光・蛍光測定
滝澤謙二1),2)(1) アストロバイオロジーセンター, 2) 基礎生物学研究所)

課題番号 :S-20-MS-1094
利用形態 :機器センター施設利用
利用課題名(日本語) :光合成生物とその色素の吸光・蛍光測定
Program Title (English) :Light absorption and fluorescence emission of phototrophs and their pigments
利用者名(日本語) :滝澤謙二1),2)
Username (English) :K. Takizawa1),2)
所属名(日本語) :1) アストロバイオロジーセンター, 2) 基礎生物学研究所
Affiliation (English) :1) Astrobiology Center, 2) National Institute for Basic Biology

1.概要(Summary )
太陽系外の生命居住可能惑星に光合成生物が存在する場合、その光合成色素ゆらいの蛍光を地球からの天体観測により検出できる可能性がある。様々な惑星環境における光合成生物を推定し、惑星表面から発する蛍光量を算出するために必要な基礎データとして、地球上の様々な光合成生物の励起スペクトルと蛍光スペクトル・収率を測定する。

2.実験(Experimental)
蛍光分光光度計HORIBA SPEX Fluorolog3-21を使用して赤外域の光合成細菌(Rhodopseudomonas)の蛍光スペクトルと可視域の標準蛍光試薬(Fluorescein)の蛍光スペクトルを同時に測定する。

3.結果と考察(Results and Discussion)
実験時間が1日しか取れず、複数の生物種、色素を使った網羅的な測定を断念し、特に情報が少ない光合成細菌生体の蛍光測定を実施した。適切な光源、検出器、フィルター選択により標準試薬との同時測定が可能であることが確認できた(下図)。

可視域と赤外域の検出器感度が大きくことなると思われ、蛍光収率を算出するためには感度補正を行う必要があるため、追試を実施したい。
CPSの積分から求めた蛍光の相対強度と細菌の色素(バクテリオクロロフィル)濃度との相関を確認することができた(下図)。

細胞濃度(色素濃度)が一定以上では励起光吸収の飽和と蛍光の再吸収により蛍光強度が飽和する。こうした知見を積み上げ、仮想惑星における仮想生物が発する蛍光シグナル強度を算出するための基礎データとする。

4.その他・特記事項(Others)
装置の冷却等ご準備いただいた機器センター上田正様に御礼申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

©2024 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.