利用報告書

光照射電子スピン共鳴によるガーネットシンチレータ結晶における浅い電子捕獲中心の解明
北浦 守1), 八木橋 亨1)
1) 山形大学理学部

課題番号 :S-19-MS-1067
利用形態 :機器センター施設利用(ナノテクノロジープラットホーム)
利用課題名(日本語) :光照射電子スピン共鳴によるガーネットシンチレータ結晶における浅い電子捕獲
中心の解明
Program Title (English) :Origin of shallow electron traps in various garnet scintillator crystals
investigated by electron spin resonance experiment under photo-irradiation
利用者名(日本語) :北浦 守1), 八木橋 亨1)
Username (English) :M. Kitaura1), T. Yagihashi1)
所属名(日本語) :1) 山形大学理学部
Affiliation (English) :1) Faculty of Science, Yamagata University

1.概要(Summary )
 ガーネットシンチレータ中に形成される電子捕獲中心はそのシンチレーション特性を低下させるため、できる限り抑制しなければならない。申請者らはCe:Gd3(Ga,Al)5O12において2種類の電子捕獲中心が存在することを紫外光照射赤外吸収スペクトルの測定から見出してきた。一つはAl濃度の高い試料で近赤外域の吸収帯として現れ、もう一つはGa濃度の高い試料で中赤外域の吸収帯として現れる。後者の起源はまだ明らかにされていない。最近、この未知の電子捕獲中心がCe:Lu3Ga5O12 (Ce:LuGG)やCe:Y3Ga5O12 (Ce:YGG)でも形成されることを見いだされた。これらの結晶でESR実験を行えば、電子捕獲中心の信号を検出してその構造を明らかにできる可能性がある。そこで、本研究では、Ce:LuGG 結晶とCe:YGG結晶に紫外光を照射してESR実験を行い、電子捕獲中心に起因する信号が見いだせるかどうかを調べた。

2.実験(Experimental)
 Ce:LuGG結晶とCe:YGG結晶はマイクロ引き下げ法によって育成した。Ce濃度は約0.3mol%であった。ESRの測定には、分子科学研究所機器センター所管の電子スピン共鳴装置(Bruker社製EMX)を利用した。照射に用いた紫外光の波長は375nmであった。10 Kから300Kの温度範囲で測定を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
10 Kで測定したCe:YGG結晶のESRスペクトルを図1に示す。スペクトルに現れているのは三価セリウムイオンの信号である。紫外光を照射しても信号自体に変化は見られなかった。ESRキャビティが小さいため、試料の大きさは必然的に小さくなる。また、紫外光も弱かった。そのため、電子捕獲中心の濃度が実効的にに小さくなり検出できなかったと考えられる。より強い光源が必要不可欠である。

図1: Ce:YGG結晶のESRスペクトル。赤色と青色はそれぞれ紫外光照射時と照射前のESRスペクトルである。測定温度は10Kであった。

4.その他・特記事項(Others)
本研究に用いた結晶はすべて東北大学未来科学技術共同研究センターの鎌田准教授からご提供いただきました。ご厚意に感謝申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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