利用報告書
課題番号 :S-18-OS-0048
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :半導体表面微細構造の観察
Program Title (English) :Observation ofo periodic surface structure on semiconductor
利用者名(日本語) :入澤明典
Username (English) :A. Irizawa
所属名(日本語) :大阪大学産業科学研究所
Affiliation (English) :ISIR, Osaka University
1.概要(Summary )
半導体表面にテラヘルツ自由電子レーザー(THz-FEL; Terahertz Free Electron Laser)を用いて作成したレーザー誘起表面周期構造(LIPSS; Laser Induced Periodic Surface Structure)の構造変化を調べるためにレーザーラマン顕微鏡を用いてラマン分光測定を行った。
2.実験(Experimental)
利用した装置:S19 レーザーラマン顕微鏡
図1のように予めSiウエハ表面にLIPSSを作成した物を観察試料として準備し、LIPSSの構造内におけるラマンスペクトルからSiの結晶状態の変化を議論することを目的とする。
3.結果と考察(Results and Discussion)
図2に並行して行ったSEM付集束イオンビーム装置でのSEM像を示す。中心部では単調な縞模様が観察され、周辺部では模様が上書きされている様子が見て取れる。詳細は原著論文に記載のため省略するが、FEL照射回数を重ねた際にも単純に重ね書きされるのではなく、あたかも消去と書き込みが繰り返されたかの様な状態が中心部に見られる。このことはアブレーションによって飛び出したと考えられる小さな粒状の物質が堆積していることからも表面がFEL照射により融解していることを強く示唆する。この中心部位に対し、532nmの波長のレーザーを用いてラマンスペクトルを計測した。結果を図3に示すが、ウエハの照射していない部位で見られる単結晶シリコンのラマンスペクトルと同様の線幅で、単純なスペクトルが得られた。詳しくは今後の詳細な継続実験によって明らかにする予定であるが、SEM像の観察から推測されるSi表面の融解などを伴う大きな結晶状態の変化に反して、非常に結晶性の良い状態が保たれていることが、本実験結果から判明した。THz-FELのパルス特性と結晶状態の変化は密接に関わっていると予想されるが、今後の系統的な実験によりSi表面で何が起こっているのか明らかにしていきたい。
4.その他・特記事項(Others)
装置利用の際は支援員の方に支援して頂きました。感謝いたします。
・用語解説
LIPSS: これまで近赤外領域のレーザーを用いて研究が行われてきた。構造生成の機構はいくつか提案されているが、未だ議論中である。周期構造の間隔が波長よりも小さいことが特徴で、回折限界を超えた加工技術の展開に期待が寄せられる現象の一つである。THz-FELによるLIPSSはこれらに比べ、さらに1桁も微細な波長比であることから実験・理論の両面から興味が持たれている。
・競争的資金: JSPS科研費 JP17K18989(萌芽)、「物質・デバイス領域共同研究拠点」の共同研究プログラム、他
・共同研究者:菅滋正(阪大)、長島健(摂南大)、東谷篤志(摂南大)、橋田昌樹(京大)、阪部周二(京大)
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) A. Irizawa, S. Suga, T. Nagashima, A. Higashiya, M. Hashida, S. Sakabe, Appl. Phys. Lett. 111 (2017) 251602-1-5.
(2) A. Irizawa, 6th International Conference on Superconductivity and Magnetism (ICSM2018), Antalya, Turkey, 1 May 2018.
(3) A. Irizawa, International Conference on Low-Energy Electrodynamics in Solids (LEES 2018), Ancona, Italy, 28 June 2018.
(4) 入澤明典 日本赤外線学会誌(特集 赤外線に関連した共同利用施設)、28(1) (2018) 5-14.
(5) 入澤明典、菅滋正、長島健、東谷篤志、橋田昌樹、阪部周二 第32回日本放射光学会年会・放射光科学合同シンポジウム2019.1.10
(6) 入澤明典、菅滋正、長島健、東谷篤志、橋田昌樹、阪部周二 第25 回FEL とHigh-power Radiation 研究会 2019.2.15
6.関連特許(Patent)
なし。







