利用報告書

反応プラズマエッチングにおけるイオン-固体表面反応解析
伊藤智子, Kang Ho Jun, 平祥一(大阪大学大学院、工学研究科附属アトミックデザイン研究センター)

課題番号 :S-20-OS-0026 
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :反応プラズマエッチングにおけるイオン-固体表面反応解析
Program Title (English) :Characteristics of surface reactions in plasma etching processes
利用者名(日本語) :伊藤智子, Kang Ho Jun, 平祥一
Username (English) :T. Ito, H. Kang, S. Taira
所属名(日本語) :大阪大学大学院、工学研究科附属アトミックデザイン研究センター
Affiliation (English) :Center for Atomic and Molecular Technologies, Graduate School of  Engineering

1.概要(Summary )
本申請は、反応性プラズマエッチングにおけるイオン-固体表面反応の解明を目的としたものである。具体的な、テーマを下記に示す。
①Al2O3材料は、プラズマ耐性が高いことから、プラズマを用いた半導体製造装置内部の部材として使用されている。これらの材料表面は、プラズマプロセス中において、反応性イオンにさらされており、それら活性種による表面反応は明らかにされていない。本申請では、Al2O3におけるAr+イオン照射による、エッチング特性の解明を目的とした。
②遷移金属材料は、従来の半導体材料で用いられてきたハロゲン系プラズマによるエッチングが困難な材料として知られており、近年、有機系の反応性ガスを用いたプラズマエッチングプロセスが求められている。有機系ガスによる反応性プラズマエッチングプロセスの開発を目的とし、本申請では、第一段階として、有機系ガス曝露による遷移金属(Pt, Co)のエッチング特性の解明を目的とした。
2.実験(Experimental)
S17 接触式膜厚測定器(膜厚計)
S14 走査性電子顕微鏡
S10 RFスパッタ装置(マグネトロン型RFスパッタ装置)

本研究では、当研究室の質量分離イオンビーム装置を用いて、Cl+イオンを生成し、Al2O3表面にイオンビーム照射を行った。イオンビーム照射後の試料は、S17接触式膜厚測定器を用いて、エッチング深さを算出した。
また、磁性材料試料は、S10RFスパッタ装置で作製したPt, Co試料を用いた。有機ガス曝露によるエッチングの可否は、有機ガス曝露後の試料の断面を切り出し、S14の走査性電子顕微鏡を用いて判定を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
Figure 1に示すのは、Cl+イオンビーム照射による、Al2O3のスパッタリングイールド(イオン1個当たりの試料構成原子の脱離数)のイオンエネルギー依存性である。イオンエネルギー増加とともに、スパッタリングイールドが上昇し、また、Cl+イオンは、物理的スパッタリングでエッチングが進行するAr+イオンのイールドと比較して、高いエッチングイールドを示すことが明らかとなった。
また、Pt, Coに関しては、今回の有機ガス曝露条件では、表面荒れが生じ、エッチングの有無の評価が困難であることが判明したため、今後、断面観察用の試料作製法を検討し、再実験を行う。
4.その他・特記事項(Others)
装置使用に際し、丁寧にご説明・ご対応頂きました大阪大学分子・物質合成PFの支援員の方に感謝致します。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1)伊藤智子, 唐橋一浩, 浜口智志, 第68応用物理学会春季学術講演会, 令和3年3月17日.
(2)伊藤智子, 唐橋一浩, 浜口智志, 第81応用物理学会秋季学術講演会, 令和2年9月10日.
6.関連特許(Patent)
該当なし

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