利用報告書

可食性成分を用いた青果物鮮度保持コーティング剤の開発
チャン チ ヴァン1), 田中 良奈2),田中 史彦2)
九州大学大学院生物資源環境科学府, 2) 九州大学大学院農学研究院

課題番号 :S-20-KU-0053
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :可食性成分を用いた青果物鮮度保持コーティング剤の開発
Program Title (English) :Development of edible coatings to extend the shelf life of fresh fruit and vegetables
利用者名(日本語) :チャン チ ヴァン1), 田中 良奈2),田中 史彦2)
Username (English) :Tran Thi Van 1), F. Tanaka2), F. Tanaka2)
所属名(日本語) :1) 九州大学大学院生物資源環境科学府, 2) 九州大学大学院農学研究院
Affiliation (English) :1) Graduate School of Bioresource and Bioenvironmental Sciences, Kyushu University, 2) Faculty of Agriculture, Kyushu University

1.概要(Summary )
 石油由来プラスチックに代わり環境負荷の小さい包装材を用いて青果物の鮮度保持を行うことを目的とし、生物由来可食性フィルムおよびコーティング剤の開発が世界各地で行われており、キトサンやゼラチンをベースとし、機能性付加のためエッセンシャルオイルやセルロースナノファイバー、モンモリロナイトナノクレイ等を用いる研究がなされている。
 本実験では、キトサン、茶の実油(TSO)およびモンモリロナイトクレイ(AC)を用いたコーティング溶液の作製を試みた。適切な設計を行うにあたり、基礎特性として、コーティング溶液の物性値(粒子径およびゼータ電位)を明らかにするため、ゼータサイザーを用いた測定を行った。

2.実験(Experimental)
 構成比の異なる4つの水溶液を作製した。それぞれの構成比はキトサン1%水溶液(CH)、キトサン1%およびTSO 0.25%水溶液(CT)、キトサン1%、AC 0.1%(CC)およびキトサン1%、TSO 0.25%、AC 0.1%(CTC)とした。各溶液を約0.8mLセルに入れ、ゼータサイザー(Nano-Zs、Malvern Instruments、UK)を使用してゼータ電位と粒子径を測定した。ゼータ電位は3回、粒径は5回繰り返し測定した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
 ゼータ電位および粒径の測定結果を表に示す。CHとCCのゼータ電位はCTとCTCよりも高く、TSOをCH溶液に組み込むと、ゼータ電位が低下することが示された。 これは、キトサンのアミノ基の正電荷に起因する静電反発力の低下が、エッセンシャルオイルのカルボン酸基によって占有され、部分的に中和されたことによる(Vargas et al.、2006)。粒子径については、予想に反し大きく、バラツキも大きかったことから、試料や作製方法の見直しが必要であることが明らかとなった。
試験区 ゼータ電位 (mV) 粒径 (d.nm)
CH 54.07 ± 1.00 8869 ± 352
CT 39.40 ± 3.23 4617 ± 297
CC 47.40 ± 2.41 63514 ± 5559
CTC 37.90 ± 2.29 5235 ± 322

表 ゼータ電位および粒径測定結果

4.その他・特記事項(Others)
 なし。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
 なし。

6.関連特許(Patent)
 なし。

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