利用報告書

固相相変態を用いたナノグラニュラー磁性体の作製と組織及び磁気特性の検討
坂倉 響1), 竹田 真帆人2)
1) 横浜国立大学大学院システム統合工学専攻, 2) 横浜国立大学大学院工学研究院

課題番号 :S-15-MS-1079
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :固相相変態を用いたナノグラニュラー磁性体の作製と組織及び磁気特性の検討
Program Title (English) :Correlation of structural changes and magnetic properties in nano-granular materials evolved in precipitation
利用者名(日本語) :坂倉 響1), 竹田 真帆人2)
Username (English) :H. Sakakura1), M. Takeda2)
所属名(日本語) :1) 横浜国立大学大学院システム統合工学専攻, 2) 横浜国立大学大学院工学研究院
Affiliation (English) :1) Graduate School of Engineering、Yokohama National University,
2) Faculty of Engineering, Yokohama National University

1.概要(Summary)
巨大磁気抵抗効果(GMR)がナノグラニュラー磁性体において観測されて以降、Cuと強磁性元素の組み合わせからなるナノグラニュラー磁性体を用いた研究が精力的に行われてきた。しかし、その多くは磁気物性の観点からの研究で、組織と磁気特性に関する詳細な調査は十分に展開されていない。析出現象を用いて組織を連続的に変化させると、通常の固相相変態では見られない特異な変化が電子顕微鏡により観察されることが、筆者等の研究で明らかになった。ナノグラニュラー磁性体の磁気特性は組織学的因子に大きく左右されると推測されている。本研究では、電子顕微鏡とSQUID測定、熱磁気天秤、KKR計算法等を用いて組織と磁気特性の相互関係を調べることとした。

2.実験方法(Experimental)
固相相変態の進行度合に応じて組織と磁気特性がどのように変化するかを把握するため、透過電子顕微鏡とEDS組成分析を用いて組織・組成を調べ、磁気特性について、MPMS-XLおよびMPMS-7を用いてM-T測定とM-H測定を行なった。また、交流磁化測定より温度依存性および周波数依存性の測定も同様に行なった。交流磁化測定では、振幅は1Oe、周波数は1Hzから1000Hzまで変化させた。磁気変態点の析出条件依存性に関する測定には高感度熱磁気天秤法を用いた。エネルギーバンド計算にはAkaiKKRを使用した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
Cu-20at%Ni-5at%Co合金を一旦高温で保持して固溶体を生成し、273K に焼き入れた後、873K,1073 Kで焼鈍すると、ナノ磁性微粒子が銅母相に分散した。焼鈍時間を長くすると、これらの微粒子が一次元的に配列した。電子顕微鏡-EDX分析により、析出粒子はCu:Ni:Co=11:39:50(at%)であった。この組成の析出相についてKKR計算を行ったところ、低温では強磁性相となることが予想された。高感度熱磁気天秤を用いて上記焼鈍試料の磁気変態点を調べたところ、磁気変態点は析出粒子が形成される焼鈍温度以上であることが分かった。
複素磁化率測定では、溶体化処理直後の試料でχ′で分離が明瞭には見られなかったが、χ”にダブルピークが観察された。Coは低温でCuに固溶し難く、急冷直後で相分離が始まっているため、このようなダブルピークが出現した可能性が有る。Cu-Ni-Fe合金に関するこれまでの研究結果では、複素磁化率に組織変化が敏感に影響しているので、今後、Cu-Ni-Co合金についても組成や熱処理条件の異なる試料で同様の測定を行なって両者の測定結果を比較検討する予定である。

4.その他・特記事項(Others)
支援員: 藤原基靖 様、 伊木志成子 様

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
・「Cu75-Ni20-Co5合金における微細析出粒子と磁気特性の関係」坂倉響、金俊燮、竹田真帆人
銅と銅合金、55 (2016)、受理

6.関連特許(Patent)
なし。

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