利用報告書
課題番号 :S-16-NU-0006
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :国重要無形民俗文化財”新野の雪祭”に使用する衣装素材の科学分析
Program Title (English) : Analysis of Incrustation on Fiber of Attire to be used for “Niino no Yukimatsuri”
利用者名(日本語) :仙波壽朗, 青木千恵美
Username (English) :T. Semba, C.Aoki
所属名(日本語) :飯田女子短期大学 家政学科
Affiliation (English) :Iida Women’s Junior College Home Economics Department
1.概要(Summary )
これまで雪祭に使われる藤布衣装の復元に取り組んできた。藤布製作工程における灰汁炊きと藤扱きにより、藤蔓中皮から靭皮繊維を取り出す。灰汁炊きでは木灰と消石灰を10:1 の割合で混ぜた灰汁を用い、藤蔓中皮を約4 時間煮る。その後、竹製のコウバシで扱いて靭皮繊維を取り出す。しかしこれまで細繊化に伴うセルロースの結晶構造や成分の変化に関する報告はない。
そこで本研究では、灰汁炊きおよび藤扱きした藤蔓中皮についてXRD測定を行い、靭皮繊維を取り出す工程について調べた。
2.実験(Experimental)
【利用装置】
X線粉末回折装置(リガク製, Smart Lab 3K1d /2d DSC)
【実験方法】
試料を細断して粉末状にし、反射法により測定した。
(測定条件:電圧40kv, 電流30mA, 走査速度5°/
min)
3.結果と考察(Results and Discussion)
Fig. 1において藤蔓中皮と靭皮繊維のXRDパターンを比較したところ、靭皮繊維ではセルロースⅠ型の結晶性が向上した。これは藤蔓中皮を灰汁炊きおよび藤扱きすることにより、ヘミセルロース等が除去されたためと考えられる。またそれらの除去により細繊化が進行すると推測される。
4.その他・特記事項(Others)
本研究に際して、適切な助言とご支援をいただきました坂口佳充特任教授に心より感謝致します。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。