利用報告書
課題番号 :S-15-NI-40
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :圧接金型形成技術開発
Program Title (English) :Pressure welding die formation technology development
利用者名(日本語) :小池一郎1)
Username (English) :Ichiro Koike1)
所属名(日本語) :1) 株式会社マクシスシントー
Affiliation (English) :1) MAXIS-SHINTO, INC.
1.概要(Summary )
マクシスシントー社には、事業の1つとして、精密金型製造がある。近年、タクトタイム削減が求められており、特に樹脂成型においては、金型に樹脂を注入後、急速に且つ均一に温度を上下させることが求められている。従来、行われてきた直線形状の温・冷水ダクトでは成し得ない温度管理が求められている。この要求に対し、薄い板に所定の穴を開け、それを積層することで曲線状の温・冷水ダクトを実現する手法が考案された。真空中で融点直近まで金型材を昇温させ、高圧プレス下で長時間保持することで活着させ、一体の金型として整形する手法である。実際に活着させることは可能となっているが、一方で、融点近傍まで昇温させ、高い圧力で保持することから、加工済金型材そのものが歪んでしまい、望む成形技術とはなっていないことが問題となっている。
本年度、金属加工表面歪を完全に除去するCMP加工によって、デバイ温度程度、且つ、低圧力下で活着が可能かどうか確認する試験を実施した。
2.実験(Experimental)
・MAT社製エアスピンドル40cm研磨定盤一式
1:形状形成された金型金属を平板研磨によってCMP加工した。
2:初期段階試験であるため、研磨溶液の最適化は行わず、平研歪を除去することを主眼とし、微細なスクラッチ等の残存は無視することとした。
3:名古屋工業大学江龍研究室にて保有しているホットプレスにて、昇温加圧し、大気中にて表層原子の移動が実現するかの確認を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
次の表面観察写真は、実体顕微鏡像である。左上に前・後とあるのは、CMPの後、プレス加工を行う前後を意味している。プレス条件は、4.8Ton/cm2、150℃、12時間、大気中である。市場で実施されている圧接においては、大略100 Ton/cm2、1000℃、真空中でが条件となっており、十分に低圧力・低温度で実験が成されていると言える。写真において、「後」の画像において、30~40μm程度のボイドが明らかに形成されているのがわかる。これは直径2cmの試験片全面に観察されている。活着試験はCMP面同士を重ねあわせ、プレスしながら行っており、重ねあわせている2個の試験片の両面には、ボイドと、他方の試験片に移動して出来たと考えられる突起が形成されている。これは、金属表面を無歪状態とすることで、原子の移動が容易になったと考えている。今回は可能性試験であったので、試験成果は以上である。
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







