利用報告書

地域の食材を利用した薬膳茶の有効成分の分析
水田 小緖里
一般社団法人 紡ぐしあわせ薬膳協会

課題番号 :S-16-NU-0035
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :地域の食材を利用した薬膳茶の有効成分の分析
Program Title (English) :
利用者名(日本語) :水田 小緖里
Username (English) : S. Mizuta
所属名(日本語) :一般社団法人 紡ぐしあわせ薬膳協会
Affiliation (English) :

1.概要(Summary )
地域の産品も活用して開発を行う愛知県の地域資源である“いちじく”“山芋(自然薯)”“イチョウの葉”等を活用して「薬膳茶」開発を行っている。“いちじく”は、一般的にアンチエイジングに効果があるポリフェノール(アントシアニン)、“山芋”には免疫力を高める強い身体を作免疫活性化に資するムチン、“イチョウの葉”には、脳血流を増加させ、物忘れや認知症の改善等で期待されるフラボノイド(ケンフェノール等)が含まれているとされており、これらの有用成分が薬膳茶に含まれているかを科学的に評価することを目的とし、茶そのものをNMRにより評価することに取り組んだ。

2.実験(Experimental)
茶葉量を変えて熱湯により薬膳茶を抽出した。抽出液はNMR測定でロックをかける目的の少量DMSO-d6を添加して13C NMRを測定した。比較用の標準試薬も水溶液として同様に測定したが、難溶のものはDMSO-d6溶液として13C NMRを測定した。測定は室温で実施した。

使用機器:
500MHzNMR装置
Agilent製 UNITY INOVA 500

3.結果と考察(Results and Discussion)
熱水抽出した薬膳茶は、直接13C NMRの測定が可能であることが確認できた(図1)。“いちじく”“山芋(自然薯)”“イチョウの葉”を個別に熱水抽出したものは、茶葉分量を変えることですべてスペクトルを得ることができ、それぞれ異なったスペクトルパターンを示した。
薬膳茶の有用成分と考えられる上述のものを含め7種の試薬についても水溶液中で13C NMRスペクトルを測定した。水に難溶でスペクトルが得られないものは、DMSO-d6溶液としてスペクトルを得た。
今回評価した有用成分が、“いちじく”“山芋(自然薯)”“イチョウの葉”からの熱水抽出液の成分として13C NMRスペクトルから直接同定されることはなかったが、類似構造の成分の存在が示唆されるなど、今後の検討を進めていく上での手掛かりとなる情報を得ることができた。

図1.薬膳茶そのものの13C NMRスペクトル
(少量のDMSO-d6を添加して室温測定)

4.その他・特記事項(Others)
本利用にあたっては、科学技術振興機構松山豊マネージャー、名古屋産業振興公社久保経営アドバイザー、名古屋大学分子・物質合成プラットフォーム坂口佳充特任教授、技術支援員近藤一元氏の支援をいただいた。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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