利用報告書
課題番号 :S-17-NU-0030
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :塑性加工用潤滑下地剤の研究・開発
Program Title (English) :
利用者名(日本語) :三輪孝彦
Username (English) :T. Miwa
所属名(日本語) :株式会社コンセラ
Affiliation (English) :Consera Co., Ltd.
1.概要(Summary )
塑性加工用潤滑下地剤として使用しているテフロンおよび潤滑下地剤の状況を把握することに取り組んだ。また、潤滑下地液に使用する粒径の異なる無機粒子成分の定量評価を可能にする手法について検討を進めた。
2.実験(Experimental)
塑性加工工程におけるワーク表面のテフロン付着状態把握のため、工程毎に採取した試料について、走査型電子顕微鏡観察、EDX分析を行った。バインダ成分については、FT-IR、1H NMRによる定性分析を試みた。
粒径の異なる無機粒子成分の混合比の評価は蛍光X線を用い、混合比既知の試料で定量性を確認した後、潤滑下地液から採取した試料について評価を行った。FT-IR、1H NMRによる分散剤の評価も試みた。
利用装置:
・ 走査型電子顕微鏡(JEOL社製JSM-7500F
・ FT-IR(JASCO社製FT-IR-680Plus、顕微法(透過)
・ 500MHz NMR装置(Agilent UNITY INOVA500)
・ 蛍光X線分析装置(リガク製EDXL300)
3.結果と考察(Results and Discussion)
ワーク表面付着物の状況は、各試料の走査型電子顕微鏡観察により比較評価し、EDX分析でテフロン成分の付着を確認した。他のバインダ成分の定性分析は、採取した付着物を顕微IR測定や、可溶分についての1H NMRで評価を試みた。テフロン以外の数種の化合物の存在を確認することはできた。
潤滑下地剤液に分散させた粒径の異なる2種の無機成分のうち、沈降成分中の混合比を蛍光X線で評価する際、粒径の違いにより試料表面付近では図のように系全体の混合比とは異なる状況になる可能性も考えられたため、混合比を変えたモデル試料を複数作製し、蛍光X線測定を行ってみた。モデル試料は、粉体粒子を直接混合したもの及び下地剤液を仮定した分散状態から作製したものを用意した。その結果、今回使用する試料においては、いずれの混合法の場合もほぼ同じ定量結果を与えることが確認された。この結果に基づく検量線を用いて、実際の下地剤液から採取した沈殿の混合比を見積もることができた。紛体粒子を分散させる目的の、分散剤評価は、1H NMR,13C NMRで試みたが、定量評価に繫がるシグナルを捉えることはできなかった。
図. 異なる粒径を持つ混合粒子の分布バラツキ
4.その他・特記事項(Others)
走査型電子顕微鏡観察は林育生氏、NMR測定は近藤一元氏、蛍光X線測定およびFT−IR測定は伊藤始氏に実施いただいた。分析を進めるにおいて、坂口特任教授にもご支援いただいた。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし