利用報告書

変形菌の細胞内で増殖する新規微生物の探索および解析
矢島由佳(室蘭工業大学)

課題番号 :S-20-CT-0119
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :変形菌の細胞内で増殖する新規微生物の探索および解析
Program Title (English) :Ultrastructural observation on a new endosymbiont of myxomycetes
利用者名(日本語) :矢島由佳1)
Username (English) :Y. Yajima1)
所属名(日本語) :1) 室蘭工業大学
Affiliation (English) :1) Muroran Institute of Technology

1.概要(Summary )
 近年,アメーバの細胞内に寄生する生物には新規のものや未知機能を有するものが多く発見されることから,これらの実体に注目が集まっている.利用者はアメーバの一種である変形菌の細胞内外に菌類と推定されるシストを見出し,その実体の解明に向けた検討を進めている.本研究では,透過型電子顕微鏡を用いて,両者が存在する状態で培養したサンプルの検討を行った.

2.実験(Experimental)
 透過型電子顕微鏡(HITACHI, H-7600)を用い,加速電圧60 kV,spot size 4,Emission current 10μAにて検鏡し,デジタル顕微鏡写真撮影を実施した.
利用装置:透過型電子顕微鏡:HITACHI, H-7600 (
公立千歳科学技術大学登録装置)

3.結果と考察(Results and Discussion)
 透過型電子顕微鏡観察の結果,変形菌の胞子内に,通常では見られない膜によって隔てられた構造が見つかり(図上),その内部を拡大すると大量のリボソーム様の粒状物が詰まっていることが観察された(図下).その密度は周辺の変形菌細胞に散在するリボソームに比べ非常に高かった.また膜は変形菌の細胞膜に比べ電子密度がより高く観察された.この構造は同一サンプル内の複数の変形菌胞子内に見られたことから,菌類と推定されるシストの活動期あるいはシスト壁形成前の姿であることが示唆された.さらに,その構造物内に膜構造が楕円の層のようになっているものも観察され,このような構造は変形菌の通常の胞子内には見られないことから,菌類と推定される生物により形成された構造物であることが示唆された.

4.その他・特記事項(Others)
科研費 基盤研究C(19K06801)

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) 矢島由佳.第64回日本菌学会.2020年6月19日.

6.関連特許(Patent)
なし.

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