利用報告書

実用ゴム材料の構造解析
丸山 隆之

課題番号                :S-20-NM-0022

利用形態                :機器利用

利用課題名(日本語)    :実用ゴム材料の構造解析

Program Title (English) :Structural analyses of practical rubber materials

利用者名(日本語)      :丸山 隆之

Username (English)     :T. Maruyama

所属名(日本語)        :株式会社ブリヂストン

Affiliation (English)  :BRIDGESTONE Co.

 

 

1.概要(Summary )

一般消費材や生産材用途としてタイヤ製品等各種実用に供されているゴム材料・部材は、材料設計に従い配合された各種の素原料・充填材料・薬品類の不均一な分散や意図しない反応などに由来する粒状物を含む場合が多い。こうした粒状物がその組成や大きさ、形状などに応じてゴム物性や性能にどのように影響するか調査を継続した。

 

2.実験(Experimental)

【利用した主な装置】

卓上電子顕微鏡

ナノサーチ顕微鏡

【実験方法】

配合内容の差異に応じ物性や性能の異なる各種実用ゴム材料からミクロトームやクライオスタット等により表面平坦なバルク試料や薄膜試料を加工作製し、平坦面上に表出する主に粒子形状の組織、ドメインや粒状物について、その形態や分布、組成詳細などを卓上電子顕微鏡・EDSやナノサーチ顕微鏡(光学・レーザー顕微鏡)により観察・分析し分類・把握した。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

表面平坦に加工された試料を卓上電子顕微鏡などで詳細に面内観察・評価した結果、素原料の配合内容や製造条件の異なるそれぞれのゴム材料に特徴的な組織、ドメインや粒状物が見出され、その形態や分布、組成などを有機系や無機系のそれぞれで複数の代表的なグループに分類、把握できた。

観察された粒状物のなかには特段の外部負荷を与えていないにも拘らずゴムとの界面が部分的に破壊・欠落しているものが見られた(Fig.1)。元素分析や偏光性からこれらは同じ成分種の粒状物と推定され、タイヤ用途として重要な摩擦特性や長期信頼性等に影響する可能性が強く示唆される。

 

Fig.1 An observed particle with broken interface

 

今後はこの種の粗大粒を含むゴム試料表面に様々な強度や方向性の応力を加えて局所的に変形させ、それによりこの種の粒状物が周辺のゴムの破壊現象にどのように影響するか、詳細に調べていく。性能に影響が大きい構造的特徴の明確化を進めることで製品性能の具体的な改善・向上につなげたい。

 

4.その他・特記事項(Others)

本研究の一部は、文部科学省委託事業ナノテクノロジープラットフォーム課題として物質・材料研究機構分子・物質合成プラットフォームの支援を受けて実施されました。機器利用にあたり技術相談、トラブル対応等でご支援頂きました箕輪貴司様、竹村太郎様、服部晋也様、李潔様に心から感謝申し上げます。

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

なし。

 

6.関連特許(Patent)

なし。

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