利用報告書

家畜骨格筋中細胞内オルガネラ観察技法の開発
長谷川靖洋, 岩﨑智仁(酪農学園大学)

課題番号 :S-20-CT-0127
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :家畜骨格筋中細胞内オルガネラ観察技法の開発
Program Title (English) :Development of organelles observation technique in myocyte of livestock skeletal muscle.
利用者名(日本語) :長谷川靖洋, 岩﨑智仁
Username (English) :Y. Hasegawa, T. Iwasaki
所属名(日本語) :酪農学園大学
Affiliation (English) :Rakuno Gakuen University.

1.概要(Summary )
近年,養鶏業界では胸肉の筋障害が問題となっている.この筋障害の発現はミトコンドリア機能異常により生じることが明らかとなっていることからその形態も評価する必要がある.ミトコンドリアの電子顕微鏡観察技法ではOsO4浸軟法がよく用いられるが.鳥類の筋ミトコンドリアを観察した報告は少ない.本課題はブロイラーの筋組織を試料として適した処理条件の開発を目的とした.

2.実験(Experimental)
筋障害を呈したブロイラーを0.5% GA,0.5% PFAを含む0.1 M リン酸緩衝液で還流固定したのち,胸肉(白色筋)およびモモ肉(赤色筋)を採材して試料とした.
試料を1% OsO4で固定後に50% DMSO溶液に置換して液体窒素下で凍結割断した.割断した試料は0.1% OsO4で3日間浸透させ,定法で走査型電子顕微鏡試料とした.観察はJOEL製の電界放出型走査型電子顕微鏡(JSM-7800F、公立千歳科学技術大学登録)を用いた.

3.結果と考察(Results and Discussion)
OsO4浸軟処理した赤色筋および白色筋のFE-SEM像を図1に示した.赤色筋の弱拡大像では筋線維が明瞭に観察され(図1A),強拡大像ではミトコンドリアとそのクリステ構造を観察することができた(図1B).白色筋の弱拡大像では分解されている筋線維が観察され,強拡大では筋フィラメントが過度に分解されてミトコンドリアも観察されなかった.このことから赤色筋および白色筋ではそのOsO4に対する構造安定性が異なっていることが明らかとなり,OsO4浸軟法を用いた白色筋試料の観察条件は再検討する必要がある.

4.その他・
特記事項(Others)
Y. Hasegawa, T. Kawasaki, N. Maeda, M. Yamada, N. Takahashi, T. Watanabe, T. Iwasaki, Animal Science Journal,(2021) DOI: 10.1111/asj.13517

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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