利用報告書
課題番号 :S-20-NU-0025
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :c
Program Title (English) :Development of aromatic room-temperature liquids showing fluorescence
利用者名(日本語) :高石 和人
Username (English) :K. Takaishi
所属名(日本語) :岡山大学大学大学院自然科学研究科
Affiliation (English) : Graduate School of Natural Science and Technology, Okayama University
1.概要(Summary )
利用者は有機発光色素の開発研究を行っている。軸性キラル 1,1’-ビナフチル類にトリアルキルシロキシ基が置換した色素が、常温常圧で液体であり、高い発光量子収率を示すことが分かった。液体色素は、固体や溶液の色素と比較して利点が多い。例えば、高濃度で発光性を発現し、柔軟性に優れ、薄膜化が容易である等が挙げられる。知られているほとんどの液体発光色素は、発光団に長鎖かつ分枝アルキル鎖を導入したものがほとんどであり、トリアルキルシロキシ基を用いたものは珍しい。また、発光性液体ビナフチルの報告例もほとんどない。そこで本色素の熱的な物性を知るため、示差走査熱量測定 (DSC) や熱重量測定 (TG) による分析が必要であった。
2.実験(Experimental)
利用した装置の名称:
示差走査熱量測定装置 (DSC), SII 社製, DSC6200
熱重量測定装置 (TG), SII 社製, TG/DTA6200
測定方法:
1,1’-ビナフチル類にトリアルキルシロキシ基が置換した色素のうち、アルキル基がエチル基、ブチル基、ヘキシル基のものについて、無溶媒条件で測定した。なお、測定のために、試料を一旦アセトン溶解し、測定用パンに流し込んだ後乾燥させた。恒量になるのを確認して測定に移ったため、測定結果に残溶媒影響は出ていないと考えられる。
3.結果と考察(Results and Discussion)
示差走査熱量測定により、エチル基、ブチル基、ヘキシル基を有する化合物の融点は、それぞれ –64 ℃、–56 ℃、–69 ℃であることが分かった。アルキル鎖の長さと融点の相関は分からなかったが、一般的な液体色素と比較して低い融点を有することが確認された。
また熱重量測定により、いずれの化合物も少なくとも 250 ℃ までは重量にほとんど変化がないことが示された。アルキル鎖の違いに因る大きな差はなかった。
さらに 1H NMR 測定によって、少なくとも120 ℃ までは化合物が分解しないことを確認している。このように本化合物群は、幅広い温度範囲で液体状態を保ち、かつ熱に安定であるため、液体色素としての潜在能力は高いと考えられる。今後は他の分析を進め、光学的および構造的性質を明らかにしていく予定である。
4.その他・特記事項(Others)
ご測定とご解析をいただきました坂口佳充氏および関連の先生方に厚く御礼申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。
6.関連特許(Patent)
なし。







