利用報告書

当社開発の浄水器のRO膜に関する微細構造の観察
宮坂 義政
株式会社 ミヤサカ工業

課題番号 :S-16-NU-0029
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :当社開発の浄水器のRO膜に関する微細構造の観察
Program Title (English) :
利用者名(日本語) :宮坂 義政
Username (English) :Y. Miyasaka
所属名(日本語) :株式会社 ミヤサカ工業
Affiliation (English) :Miyasaka Kougyou Co Ltd

1.概要(Summary )
災害時等の非常時に、手動蓄圧タンク方式により生活水及び飲料水を簡便に確保する浄水器を開発した。本浄水器は、プレフィルター、活性炭フィルターを経た後、飲料水を得るときはRO逆浸透膜を、生活水を得るときはMF中空糸膜フィルターに切り替えることで効率良く安全な水を得ることができるものである。各フィルターが果たしている役割を視覚的および化学的に把握するため、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて分析評価することに取り組んだ。

2.実験(Experimental)
実際の災害現場で使用した浄水器及び未使用の浄水器から、プレフィルター、活性炭フィルター、MF中空糸膜フィルター中空糸膜、RO膜を取り出し、SEM観察用試料を切り出した。各試料をオスミウムコーとした後、走査型電子顕微鏡(JEOL社製JSM-7500F)を使用して表面観察及びEDX分析を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
使用後のプレフィルター上には明確に付着物が観察され、EDX分析でSiが検出されたことからシリカと考えられる土砂成分を捕捉していることが確認できた。
使用後の活性炭フィルターの付着物からは、Si、Al、Ca等の成分の増加が検出された。土砂によるシリカ、アルミナ等とともに炭酸カルシウムなどのカルシウム塩を捉えているものと思われる。
視覚的に捉えられる付着物は活性炭フィルターまでに捕捉され、使用後のMF中空糸膜、RO逆浸透膜の付着物は量的には多くはないが、微小付着物からは土砂成分と考えられるSiの検出が認められた(図1)。

図1.RO逆浸透膜のSEM写真(左:使用前、右:使用後、x50,000)

本課題での取組により、浄水器の各フィルター役割を把握することができ、商品展開への説得力のあるデータとするとともに、性能向上への取り組みにも繋げていきたい。

4.その他・特記事項(Others)
ナノテクノロジープラットフォームを紹介頂いたJST松山マネージャー、測定を担当頂いた名古屋大学林育生氏、坂口特任教授に感謝いたします。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし

6.関連特許(Patent)
なし

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