利用報告書

微小流路内へのグラフェン膜転写および機能化プロセスの開発とエネルギーデバイス応用
岡田 健1)
1) 東北大学大学院工学研究科

課題番号                :S-20-NI-0007

利用形態                :共同研究

利用課題名(日本語)    :微小流路内へのグラフェン膜転写および機能化プロセスの開発と

エネルギーデバイス応用

Program Title (English) :Graphene transfer onto micro channel and development of functional process for energy harvesting application

利用者名(日本語)      :岡田 健1)

Username (English)     :T. Okada1)

所属名(日本語)        :1) 東北大学大学院工学研究科

Affiliation (English)  :1) Department of Electronic Engineering, Tohoku University

 

 

1.概要(Summary )

次世代材料として期待されているグラフェンは大面積合成が可能であり、物性探求やデバイス作製等の検討には任意の基板に転写して用いる必要がある。本申請では微小流路内への転写プロセスを開発し、グラフェン-水界面における発電について評価を行った。

 

2.実験(Experimental)

グラフェン・カーボンナノチューブ合成装置を使用し、銅箔を用いた大面積グラフェン膜を合成し、ガラス基板上へのグラフェン膜転写プロセスの最適化検討を行った。グラフェン転写プロセスは以下の通りである。グラフェン膜をポリマーでコーティングし、塩化鉄溶液を用いて銅箔を化学的に除去する。このとき処理時間、溶液濃度の最適化を行った。その後、アセトン溶液によるエッチングとアルゴン水素雰囲気下300℃のアニール処理によってポリマー膜除去プロセスの検討を行った。これらの各プロセスはラマンスペクトルと原子間力顕微鏡(AFM)によって評価した。また、最適化したグラフェン転写プロセスを用いて微小流路内壁にグラフェンを転写し、水流を印加した際に流れ方向に発生する起電力を計測した。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

図1にシリコン基板上に転写したグラフェンのラマンスペクトルとAFM像を示す。特徴的な3つのピークは低波数からそれぞれD、G、G’バンドであり、シャープなピーク形状から高品質グラフェンであることがわかる。また、アルゴン水素雰囲気化におけるアニールによって、図1(右)に示すように清浄な表面を得ることに成功した。

次にグラフェン-水界面における発電について評価を行った結果、発電量は流速と界面面積で規格化することで0.0025μVであることが明らかになった。また、発電機構解明において重要な等価回路を規定すること成功している。

 

4.その他・特記事項(Others)

なし。

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

  1. Kuriya, K. Ochiai, G. Kalita, M. Tanemura, A. Komiya, G. Kikugawa, T. Ohara, I. Yamashita, F.S. Ohuchi, M. Meyyappan, S. Samukawa, K. Washio, and T. Okada, Output density quantification of electricity generation by flowing deionized water on graphene, Applied Physics Letters, vol.117 (2020) pp.123905.

 

6.関連特許(Patent)

なし。

©2024 Molecule and Material Synthesis Platform All rights reserved.