利用報告書
課題番号 :S-19-OS-0038
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :微細金属構造を用いたナノ分光技術の開発
Program Title (English) :Fabrication of metallic tips for near-field scanning optical microscopy
利用者名(日本語) :馬越貴之、加藤遼、田口剛輝、Ravi Yadav、Rhea Thankam Sam吉岡伸悟、緑裕作、守岡亮太、森山季、荒田博
Username (English) :Takayuki Umakoshi, Ryo Kato, Koki Taguchi, Ravi Yadav, Rhea Thankam Sam, Shingo Yoshioka, Yusaku Midori, Ryota Morioka, Toki Moriyama, Hiroshi Arata
所属名(日本語) :大阪大学大学院工学研究科精密科学・応用物理学専攻ナノスペクトロスコピー領域Affiliation (English) :Nano-Spectroscopy, Department of Applied Physics, Osaka University
1.概要(Summary)
近接場走査型光学顕微鏡の金属ナノ探針は測定結果を左右する重要な役割を担っている。探針先端の金属微細構造をナノスケールで制御することで、単分子レベルの空間分解能、又は高い再現性を実現することができる。本研究では、金属ナノ探針の構造を制御し、高効率な近接場光学測定を実現する新たな金属探針を開発する。
2.実験(Experimental)
【利用した主な装置】
【実験方法】
原子間力顕微鏡用シリコンカンチレバーを水蒸気含有下で熱酸化し二酸化シリコンに変換し、二酸化シリコン表面に銀を熱蒸着することで金属ナノ探針を作製した。蒸着角度、速度を最適化することで、グレイン状の探針や、滑らかな表面を有する探針の作製を行った。作製した探針を利用して試料の光学測定を実施した後、探針先端の形状を、走査型電子顕微鏡で観察した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
作成した銀ナノ探針を用いて分光測定及び探針のSEM観察を行った。金の薄膜上に生成したローダミン6Gの薄膜を用いて、試料のラマン散乱光を測定した。下図(a)に示すのは、滑らかな表面を有する銀探針を用いた時のローダミン6Gのラマン散乱スペクトルである。金属探針を試料に近づけた時のスペクトルと、金属探針無しの時のスペクトルを比較すると、探針有りのスペクトルで、試料のラマン散乱光の増強が確認できる。下図(b)は、(a)のスペクトルを得た時の探針のSEM像である。複数の測定結果より、表面が滑らかな金属探針の再現性は100%であるのに対して、(c)のような先端に構造を有するグレイン状の探針の再現性は低く、光学測定の再現性も低いことが分かった。今後は、高い再現性を保ちつつ増強度を向上させた探針デザインの設計を目指す。
4.その他・特記事項(Others)
R1年度試行的利用の採択を受け実施した。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
Presentation
(1) Takayuki Umakoshi and Prabhat Verma, “Plasmon nanofocusing for near-field optical imaging”, Global Nanophotonics 2019, IN-25, Taiwan, (2019). Invited talk
(2) Ryo Kato, Shun Igarashi, Takayuki Umakoshi, and Prabhat Verma, “Tip-enhanced Raman spectroscopic observation of interwall interactions in multi-walled carbon nanotube”, The 7th International Conference on Tip-enhanced Raman Spectroscopy, O5-2, China, (2019). Oral
6.関連特許(Patent)
なし。