利用報告書

抗菌性を有する新規銀ナノ粒子複合材料の開発
堀木 雄介1), 直江 一光1)
1) 奈良工業高等専門学校物質化学工学科

課題番号 :S-19-NR-0022
利用形態 :共同研究
利用課題名(日本語) :抗菌性を有する新規銀ナノ粒子複合材料の開発
Program Title (English) :Preparation of silver nanoparticle composite materials having antibacterial activity
利用者名(日本語) :堀木 雄介1), 直江 一光1)
Username (English) :Y. Horiki1), K. Naoe1)
所属名(日本語) :1) 奈良工業高等専門学校物質化学工学科
Affiliation (English) :1) National Institute of Technology, Nara College

1.概要(Summary )
銀を用いた抗菌剤は、薬剤耐性を持つ微生物が生じにくい上に多種の菌に有効である。加えて銀をナノ粒子化することで、抗菌活性のさらなる向上や抗菌処理を施す素材の特性を活かすことが期待できる。一方、エマルションはその利点として、油溶性及び水溶性の溶媒に様々な溶媒、粒子を分散させることが可能であり、塗料としても多く利用されている。特に固体粒子によって安定化されるPickeringエマルションは調製時に人工界面活性剤を用いないことから人体への影響が少なく、様々な分野での応用が期待されている。また、脂質二分子膜から成るベシクルは機能性材料の基礎媒体として期待されており、銀ナノ粒子とこれら集合体との複合体が実現されれば、より安全で機能的な抗菌性複合材料の開発が期待できる。そこで、本研究では銀ナノ粒子を調製し、本ナノ粒子の抗菌性並びに物性を調べるとともに、本銀ナノ粒子をエマルション化またはベシクル内にカプセル化させることで、より機能性の高い新規抗菌材料の開発を目指した。

2.実験(Experimental)
相間移動剤としてカチオン性界面活性剤を、還元剤としてNaBH4、コーティング剤としてメルカプトカルボン酸、アルキルチオールを用い、相間移動法にて銀ナノ粒子を調製した。モデル微生物細胞である大腸菌(Escherichia coli)または枯草菌(Bacillus subtilis)に調製した銀ナノ粒子を加えて、その抗菌性を調べた。また、本銀ナノ粒子を固体粒子してPickeringエマルションの調製を行い、またベシクルへの本銀ナノ粒子の導入も試みた。日本電子社製透過型電子顕微鏡(JEM-3100FEF)にて銀ナノ粒子の観察、Pickeringエマルション及びベシクルのcryo-TEM観察を行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
まず、相間移動法により水溶性銀ナノ粒子の調製を行なった。コーティング剤としてメルカプトカルボン酸を用いた。調製した銀ナノ粒子は水によく分散した。本銀ナノ粒子を2種の菌体溶液(大腸菌または枯草菌)にインキュベートさせ、その後、プレート法によりコロニー形成への影響を調べたところ、ナノ粒子濃度の増加に伴い、コロニー数は減少し、両菌体に対して抗菌性を有することがわかった。調製した水溶性銀ナノ粒子のTEM測定を行なったところ、平均径11 nmの銀ナノ粒子が生成されていることが明らかとなった(Fig. 1)。

調製したメルカプトカルボン酸修飾銀ナノ粒子を固体粒子としてPickeringエマルションの調製を行った。調製した銀ナノ粒子水溶液とトルエン溶液を超音波処理により乳化を行なったところ、平均径約80 mのPickeringエマルションの調製に成功した。得られたエマルションはoil-in-water (O/W)エマルションであった。また、エマルションのcryo-TEM測定に成功し、エマルションに銀ナノ粒子凝集体が存在することを確認できた(Fig. 2)。

2種類のコーティング剤によりそれぞれ修飾した銀ナノ粒子のベシクルへの封入を試みた。まず、基材となるベシクルを調製し、cryo-TEM測定によりその生成を確認した。そこで、異なる封入方法により調製した銀ナノ粒子-ベシクル複合体のcryo-TEM観察を行ったが、ベシクル内への各銀ナノ粒子の封入は確認できなかった。コーティング剤に適した封入方法が必要のようである。

4.その他・特記事項(Others)
本研究は、ナノテクノロジープラットフォーム「分子・物質合成プラットフォーム」の支援を受けて行われた。また、2019年度試行的利用の採択を受け実施した。協力研究でお世話になりました奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科河合壯教授に感謝申し上げます。また、TEM測定に関してお世話になりました同研究科の藤原正裕様、大野智子様に御礼申し上げます。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) Horiki, Y., Hamano, M., Sawai, J., Naoe, K., and Imai, M., 5th European Congress of Applied Biotechnology, P317, 2019年9月15-19日.
(2) Horiki, Y., Naoe, K., Sawai, J., and Imai, M., 7th International Conference on Food Factors, PD0501, 2019年12月4日.

6.関連特許(Patent)

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