利用報告書

揮発性代謝物の質量スペクトル解析によるAspergillus nidulansのセスキテルペ ン生合成経路の解明
竹内孝江
奈良女子大学理学部

課題番号 :S-20-NR-0041
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :揮発性代謝物の質量スペクトル解析によるAspergillus nidulansのセスキテルペ
ン生合成経路の解明
Program Title (English) :Elucidation of sesquiterpene biosynthetic pathway in Aspergillus nidulans
by mass spectrometric analysis of volatile metabolites
利用者名(日本語) :竹内孝江
Username (English) :T.Takeuchi
所属名(日本語) :奈良女子大学理学部
Affiliation (English) :Nara Womens University

1.概要(Summary )
有色胞子による文化財の汚染が問題となっている。分生子形成時に真菌種に特有なセスキテルペンが放出されることから、セスキテルペンの生合成経路の解明が急務の課題である。そこで本研究ではモデル真菌Aspergillus nidulansのセスキテルペンの生合成経路解明を系統的に行った。

2.実験(Experimental)
これまでに、aristolocheneから7-epi-neopetasoneを生成することを報告した。そこで本年度は、LO8910HA-pyrG2株に加え、新たに生合成反応を促進すると期待されるAL37株を作製し、その代謝物質を検討した。A. nidulans AL37株からの揮発性代謝物質の精密質量を、奈良先端大学院大学の二重収束型質量分析計(Sector‐MS)JEOL-JMS-700 Mstationを用いて測定した。

3.結果と考察(Results and Discussion)
生合成反応を促進すると期待されるAL37株からの揮発性代謝物を解明した。AL37株は、発現効率をより向上させるため転写抑制部を除き、AlcRたんぱく質を豊富に加えた菌株である。3つの株の揮発性代謝物を比較した結果、AL37株ではaristolocheneと7-epi-neopetasoneが増加したことから、発現効率が最も良い株であることが分かった。また各MVOCの発生量の経時変化から、保持時間26.8分にピークをもつ化合物(A)は、aristolochene または7-epi-neopetasoneから生成されていると予想された。

4.その他・特記事項(Others)
本研究の遂行にあたっては、科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽) 18K18526に感謝する。HRMSの測定にあたっては、奈良先端大学院大学 西川嘉子氏に感謝する。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1). 服部真理子,紅朋浩,竹内孝江,日本化学会第101春季年会(2021),令和3年3月19日。

6.関連特許(Patent)
なし。

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