利用報告書
課題番号 :S-19-NU-0043
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :新規クロロフィル誘導体およびその集合体の構造解析
Program Title (English) :Structural Analysis of Novel Chlorophyll Derivatives and Their Assemblies
利用者名(日本語) :篠崎喜脩
Username (English) :Y. Shinozaki
所属名(日本語) :立命館大学 総合科学技術研究機構
Affiliation (English) :Research Organization of Science and Technology、Ritsumeikan University
1.概要(Summary)
光合成の光化学系(PSI)内には、P700と呼ばれるクロロフィル(Chl)分子対が存在する。P700はPSI内で起こる電荷分離過程の第一電子供与体として機能している。本研究ではPSIのモデル化を目的に、クロロフィル二量体-フラーレン連結体の合成、構造解析および(光誘起)酸化還元特性の評価を行った。
2.実験(Experimental)
本研究で使用したChl誘導体は、既報の手順を参考に合成した1。これらの構造は、各種1H-NMR測定、X線結晶構造解析(Rigaku、VariMax with Saturn-N)および分子モデル計算によって明らかにした。
3.結果と考察(Results and Discussion)
天然物より抽出したChl-aから数段階の化学反応を経てChl単量体Chl1、二量体Chl2およびそれらのフラーレン連結体Chl1F、Chl2Fを合成した1。
Chl二量体Chl2(F)の1H-NMRスペクトルでは、Chl部位に帰属される二セットの1Hシグナル群が存在しており、Chl単量体Chl1(F)のスペクトルと比較して、両セットともにChl部位のB環周辺に対応する1Hシグナルが著しく高磁場にシフトしていた。それぞれのシグナル群の存在比が1:1であることに加えEXSY測定においてChl部位上の同位置に対応するシグナル間で相関が見られた。以上のことから、Chl2(F)は、分子内では非等価な二つのChl環がお互いにB環周辺で近接した構造を成すことが示唆された。
本研究で唯一成功したChl単量体Chl1の結晶構造解析の結果からChl二量体の構造を分子モデル計算によって類推した(図1b)。構築したモデルは、上述のChl2Fの1H-NMRスペクトルの特徴を良く捉えていた。
本研究ではさらに、Chl分子の二量体化が(光誘起)酸化還元特性に及ぼす影響を電気化学および分光測定によって評価した。本報告書ではスペースの都合上詳細を割愛させて頂くが、電荷分離に有利に働くことがわかった2。
本研究で構造が明らかとなったChl二量体Chl2(F)ではB環が(図1b)、光合成の反応中心で見られるChl対ではA環が近接している(図1a)。今後は二量体内でChl環同士が重なり合う位置をAからD環まで合成的に操作し、光合成が何故A環を選択したのかを追求していく。
4.その他・特記事項(Others)
本研究は関西学院大学 浦上千藍紗先生および橋本秀樹先生と共同で行われた。単結晶X線回折計は名古屋大学 福井識人先生のご支援のもと利用させて頂いた。本研究は、一部、笹川科学研究助成のもと行われた。
1) H. Tamiaki, T. Tatebe, Y. Kitagawa, Tetrahedron Lett. 2018, 59, 3120-3123; 2) Y. Shinozaki, C. Uragami, H. Hashimoto, H. Tamiaki, under review.
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
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なし







