利用報告書

新規二座含硫NHC-Pd(II)錯体の合成と性質
柳生剛義
名古屋工業大学

課題番号                :S-19-NI-0027

利用形態                :機器利用

利用課題名(日本語)    :新規二座含硫NHC-Pd(II)錯体の合成と性質

Program Title (English) :Synthesis and characterization of Pd(II) complexes with a sulfur-containing bidentate NHC ligand

利用者名(日本語)      :柳生剛義

Username (English)     :Takeyoshi Yagyu

所属名(日本語)        :名古屋工業大学

Affiliation (English)  :Nagoya Institute of Technology

 

 

1.概要(Summary )

N-ヘテロ環カルベン(NHC)錯体は、強い金属-炭素結合をもち、さまざまな触媒反応で良好な触媒活性を示している。これらの触媒反応において用いられる支持配位子のNHCの多くは、イミダゾリリデンが多く研究されているが、イミダゾリリデンの窒素原子のうちの一つが硫黄原子に置換されたチアゾリリデンや、チアゾリリデンにベンゼン環が導入されたベンゾチアゾリリデンを用いた研究は少ない。そこで本研究では含硫二座NHC配位子を用いたPd(II)錯体を新たに合成し、得られた各錯体の構造学的、電子的性質を検討した。

 

2.実験(Experimental)

イミダゾリウム環とチアゾリウム環、ベンゾチアゾリウム環をメチレン鎖、またはエチレン鎖で結合し、ヘキサフルオロリン酸塩として合成した各種配位子前駆体を、DMSO中でPdCl2(NCCH3)2とNEt3と反応させ、対応するジクロロ錯体を合成した。

得られた錯体の各種特性をNMRスペクトル(Bruker AVANCE500US CryoProbe)、X線結晶解析(Rigaku/MSC Mercury CCD)により測定した。

 

3.結果と考察(Results and Discussion)

各NHC配位子前駆体および対応するPd(II)錯体を合成し、1H、13C{1H} NMRスペクトルによりそれらの電子状態を明らかにした。その結果、硫黄置換したNHCはイミダゾリリデン型NHCよりも電子供与能が低いことが示唆された。また、架橋部位がエチレン鎖の錯体2の方がメチレン架橋錯体1よりもパラジウム金属上の電子密度が高くなっていることも示された。これらの錯体について、ナノテクプラットホームを利用してX 線結晶解析を行ったところ、図1に示すように、メチレン架橋錯体1は配位平面とイミダゾリリデン環との二面角が44.4(5), 44.5(5)°であるのに対し、チアゾリリデン環との二面角は40.1(3), 40.4(3)°、エチレン架橋錯体2は配位平面とイミダゾリリデン環との二面角が61.5(2), 61.3(2)°であるのに対し、チアゾリリデン環との二面角は46.4(2), 46.7(2)°とチアゾリリデン環との二面角の方が小さくなっていることが分かった。これは、チアゾリリデン環の硫黄原子上の置換基がなく、隣接する塩素原子との立体反発が小さいことを反映していると考えられる。

 

図1、錯体1 (左)と錯体2 (右)のORTEP図

 

4.その他・特記事項(Others)

なし

 

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)

吉田航士郎,柳生剛義,錯体化学会第69回討論会,2019年9月21日

 

6.関連特許(Patent)

なし

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