利用報告書
課題番号 :S-20-NU-0042
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :新規光応答性カラミチックーディスコチック双液晶性化合物の光相転移の研究
Program Title (English) :Study on Phase Transitions under photo-irradiation for novel photo-responsive calamitic-discotic bimesomorphic compounds
利用者名(日本語) :清水 洋1), 内田欣吾2), 中村啓人2)
Username (English) :Y. Shimizu1), K. Uchida2), H. Nakamura2)
所属名(日本語) :1) 奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科, 2) 龍谷大学先端理工学部
Affiliation (English) :1) Graduate School of Science and Technology, Nara Institute of Science and Technology, 2) Faculty of Advanced Science and Technology, Ryukoku University
1.概要(Summary )
申請者らは、世界で初めて棒状分子の形成するカラミチック液晶と円盤状分子の形成するディスコチック液晶の両相を単一分子種の系で発現する化合物を見出した。1) この化合物はアルコキシアゾベンゼン棒状ユニット六個をトリフェニレン円盤状ユニットの周囲にプロピレンエステル基を介して結合させたもので(図1)、紫外線照射によるアゾベンゼン部のtrans-cis光異性化によって光強度に対して等温的に双液晶性相転移が実現される化合物でもある。これまで配向試料を用いた高輝度X線散乱測定によって熱相転移の機構を明らかにしつつあるが、2) 一方、光相転移での機構は解明できていない。
本研究では、名古屋大学ナノテクノロジープラットフォームが提供する斜入射小角X線散乱(GI-SAXS)測定装置が配向試料のX線散乱を光照射下で行えるとの情報からこれを利用してカラミチック液晶相であるスメクチックA(SmA)相とディスコチック液晶相であるレクタンギュラーカラムナー(Colr)相間の光相転移の機構解明の一助とすべく利用させていただいた。
2.実験(Experimental)
光学アタッチメント/カスタマイズXRD装置(基本XRD装置FR-E)を用いて、表面処理した2種のガラス基板に試料を挟み、SmA相、Colr相の所定温度で紫外線(波長365 nm、最大強度1 W/cm2)照射下、GI-SAXS法にてX線散乱を測定した。
3.結果と考察(Results and Discussion)
ガラス基板(SmA相でホメオトロピック配向となる)とポリイミドコート基板(SmA相でプレーナ配向となる)を用いた非光照射下での測定では同様の配向試料をSPring-8で測定した結果とよく一致した。光照射下での今回の測定ではSmA相における層状構造の層周期が若干大きくなるとともにその強度が減少することが判った。これは紫外線照射によりアゾベンゼンユニットのある割合(2光子吸収の測定から光照射下、液晶温度範囲が200℃という高温であってもcis体の存在が認められている。1))がcis体になることによってスメクチック層状構造の層間でのアルキル鎖の相互貫入の度合いが低下し、層状構造の熱的安定性が下がると解釈される。このことは光照射下ではIso-SmA相転移温度が8℃程度低下する事実とも整合する。また、これまでプレーナー配向が実現されていると考えられたポリイミドコート基板につぃてはサンドイッチされた試料膜(膜圧ca.7.5μm)では基板との界面近傍から内部に行くほどホメオトロピック配向的な性格を帯びる傾向が示唆され、解析に注意を要することが判った。SmA-Colr相転移については現在鋭意解析中であるが、SPring-8で得られた知見と同様、SmA相のホメオトロピック配向状態から冷却すると、Colr相ではカラム軸が基板に平行配向していることが示唆された。
4.その他・特記事項(Others)
(参考文献)
1)D. Tanaka et al., J. Mater. Chem., 2012, 22, 25065-25071.
2)Y. Shimizu et al., Submitted.
(謝辞)本測定実施に当たり、技術的な相談に対応いただいた永野修作准教授(現立教大学教授)及び当日申請者らの立ち合いのもとその知識と経験を活かした測定を行っていただいた原光生助教並びにお手伝いいただいた修士2年の古市真梨氏、機器の基本的管理をされている技術職員日影達夫氏に感謝致します。
なお、本研究は科研費基盤研究C(課題(19K05630)に基づき実施されました。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







