利用報告書
課題番号 :S-19-MS-1060
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :新規共有結合性有機構造体の磁性研究
Program Title (English) :Magnetic Investigation of Noble Covalent Organic Framework Materials
利用者名(日本語) :中村敏和1),江東林2)
Username (English) :T. Nakamura1), D. Jiang2)
所属名(日本語) :1) 分子科学研究所, 2)シンガポール大学
Affiliation (English) :1) Institute for Molecular Science, 2) National University of Singapore
1.概要(Summary )
2005年のO.M. Yaghiらの報告以降,共有結合性有機構造体(COF: Covalent Organic Frameworks)などの多孔質物質の研究が爆発的に進んでいる.これらの構造体の多くは,共有結合あるいは配位結合で結ばれた多孔性物質であり,ガス貯蔵・分離能や触媒機能への応用が期待されている.近年では,構造の特異性だけではなく,電子物性を付加した多孔性物質の開発もめざましい.ドナー・アクセプター系2次元共有結合性有機構造体の1つであるZnPc-NDI COFは電荷分離した遍歴性キャリアが室温でも極めて長い寿命を持つ.一方で,最近になり平衡状態で電子スピンをもつ系の開発が進んでいる.江らは,芳香族をイミンやシアノ基で結合した新しいタイプのCOFの開発を行っている.この系はZnPc-NDI COFと同様に,2次元的な多孔質構造をもち,芳香族環は垂直方向に積層したカラム構造をとっている.この系は閉殻であるが,ヨウ素をドープする事により電子スピンが生成される.我々はヨウ素ドープ共有結合性有機構造体の電子物性電子状態を理解するために,ESRならびにSQUID測定による磁性研究を行ってきた.
今回,江らによってビラジカルを付与した共有結合性有機構造体が作られた.江グループの予備測定によればこの系は磁性を有しており,詳細な磁性研究が依頼された.我々は磁性を有するという報告に疑念を持ちながらも,ESRおよびSQUID測定による検討を行った.
2.実験(Experimental)
ESR測定は分子科学研究所機器センター保有のBruker E500で行った.SQUID測定は,分子科学研究所機器センター保有のQuantum Design MPMS-7ならびに MPMS-XL7を用いている.液体ヘリウムは分子科学研究所機器センターから供給・支援されている.
3.結果と考察(Results and Discussion)
通常のビラジカル分子の場合,超交換相互作用に反強磁性相互作用が支配的で,軌道直交していない限りスピン一重項状態が基底状態である.またスピンギャップは,通常,数千K以上で室温でも熱励起の寄与は少ない. それらのことを考慮すると非磁性である事が期待される.実際,江グループから提供された試料のSQUID測定は非磁性であり,ESR信号は観測されなかった.この結果を踏まえ江グループの予備測定に関して問い合わせをしたところ,温度変化でもESR強度が変化せず,試料管外に存在するなんらかの不純物を観測しているとの結論に至った.
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







