利用報告書
課題番号 :S-15-MS-1057
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :新規機能性物質の磁気機能解明研究
Program Title (English) :Clarification of Mechanism of Magnetic Properties for Novel Functional Materials
利用者名(日本語) :古川貢1), 丸山裕久2),木村竜朗2),阿部匡矩3),渡邊聖也3)
Username (English) :K. Furukawa1), Y. Maruyama2), T. Kimura2), M. Abe3), S. Watanabe3)
所属名(日本語) :1) 新潟大学研究推進機構機器分析センター, 2) 新潟大学自然科学研究科,3) 新潟大学理学部
Affiliation (English) :1) Center for Instrumental Analysis, Institute for Research Promotion, Niigata University, 2) Graduate School of Science and Technology, Niigata University, 3) Faculty of Science, Niigata University
1.概要(Summary )
近年,伝導性・磁性物質と光機能とを組み合わせた複合的機能性物質の機能性解明研究が盛んに行われている.我々は,パルスESRや時間分解ESRといったアドバンスドESR技術を駆使して電子スピンを直接観測し,スピンダイナミクスという観点から上記の2つの課題に取り組むことが目的である.
図1. ZnPc-NDI-COFとTTF誘導体の分子構造.
光誘起伝導性と磁性が絡んだ機能を示すことが期待される物質群として,①Cu(II)フタロシアニンをドナーとしたDA型COF(図1(a)),②ニトロキシドラジカルを連結したTTF誘導体(図1(b))の2種をターゲットとし,時間分解ESRをはじめとしたアドバンスドESR技術を用いて,スピンダイナミクスという観点から複合機能のメカニズムの解明を試みた.
2.実験(Experimental)
時間分解ESR測定は,分子科学研究所 機器センター所有のBruker E680 ESR分光器とSpectraPhysics MOPO ナノ秒パルスレーザーを同期させて測定した.
3.結果と考察(Results and Discussion)
最初に定常状態の磁気特性を調べるために,ESR信号強度Iの温度依存性を調べた.(図2(a)) 得られた結果は,Bonner-Fisherモデルにて解析した結果,鎖内の相互作用J / kB = -4.12 Kの一次元反強磁性鎖出あることが明らかになった.図2(b)にレーザー照射後0.5 msにおける時間分解ESRスペクトルを示した.得られたスペクトルは,線幅の狭い正の信号と線幅の広い負の信号の和で表されることが明らかになった.正の信号については,レーザー照射前から観測され,定常状態の信号と同じg値を示すことから,ニトロキシドラジカルの信号と帰属された.負の信号は①レーザー照射後のみに観測されていること,②負の信号の増大と同時に正の信号の強度が減少することから,レーザー照射によって磁気特性が変化すると結論づけられる.つまり,この物質群において,光により制御できる磁気特性を見いだすことに成功した.
4.その他・特記事項(Others)
なし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
(1) S. Jin, M. Supur, M. Addicoat, K. Furukawa, L. Chen, T. Nakamura, S. Fukuzumi, S. Irle, and D. Jiang, J. Am. Chem. Soc., 137 (2015) 7817-7828.
(2) 阿部匡矩, 古川貢,堀切一樹,藤原秀紀,日本化学会第96春季年会, 平成28年3月25日.
(3) 渡邊聖也,小野健太,古川貢,金尚彬,江東林,日本化学会第96春季年会, 平成28年3月25日.
6.関連特許(Patent)
なし







