利用報告書
課題番号 :S-15-KU-0012
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :新規炭素繊維表面改質手法の開拓
Program Title (English) :Development of novel surface modification method for carbon fiber
利用者名(日本語) :百田 将吾
Username (English) :S. Momota
所属名(日本語) :九州大学大学院工学府航空宇宙工学専攻
Affiliation (English) : Department of Aeronautics and Astronautics, Graduate School of Engineering, Kyushu University
1.概要(Summary )
炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic : CFRP)がその軽量性、高い強度から金属に替わる構造材料として注目されている。CFRP材料開発において重要なファクタ―としてエポキシ樹脂等のマトリックスとなる樹脂との接着性の向上が挙げられる。高い接着性は高いCFRP強度を生み出すからである。炭素繊維を直接樹脂に包埋すると、界面接着性が良好で無いために、応力に耐えられず破断の原因となる。そこで炭素繊維表面と親和性の高い樹脂を探索し、候補となる樹脂で表面処理を行った新しい炭素繊維を開発し、開発した炭素繊維によりCFRPを作製することを目的とした。
2.実験(Experimental)
02-1 電子状態測定システム
試料を数mg切り出し、基板となるインジウム上に圧着した後に、カーボンテープでステージバーに固定した。固定した試料を試料室に搬送し、10-9thorにおいてAlモノクロ線源を用いて測定を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
C1sのXPS測定ナロースキャンの結果、市販の炭素材料には炭素繊維のC=C結合に由来するピークに加えて、大きなC-Oピークが存在した。これは市販の炭素繊維に付着させているサイジング剤と呼ばれる樹脂由来であると考えた。
そこで、このサイジング剤を除去するためにアセトンによりソックスレー洗浄を実施した(24時間)。その結果、大きなC-Oピークはほとんどなくなったことからサイジング剤の洗浄除去を確認した。
その後、炭素繊維の表面を改質するために、ポリマー溶液にサイジング剤を除去した炭素繊維を含浸し、洗浄した後に真空オーブンで100℃にて減圧乾燥した。この試料を再びXPS測定した結果、処理前に見られなかったN 1sに由来するピークが観察され、表面修飾に成功したことが明らかとなった。
今後、同様な処理をできる他の高分子も探索する。処理CNTに対してはエポキシ樹脂中に包埋して複合化し、複合体の機械的強度を測定する。表面処理したも方が界面相互作用が強いという仮説が正しいならば、表面処理済みの試料に対して最小の添加量で高い機械的強度を示すはずである。今後実測していく。
4.その他・特記事項(Others)
特になし
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
2015年8月、百田将吾、宇田暢秀、藤ヶ谷剛彦、小野幸生、永井弘人、室園昌彦、平川裕一、永安忠、第58回構造強度に関する講演会 「PBIを用いた炭素繊維/エポキシ界面特性の改良」(Improvement of CF/epoxy interfacial properties using PBI)
6.関連特許(Patent)
なし







