利用報告書

有効磁気モーメント法によるフリーラジカル数分析
松本信洋A
A産業技術総合研究所

課題番号 :S-19-MS-1055
利用形態 :施設利用
利用課題名(日本語) :有効磁気モーメント法によるフリーラジカル数分析
Program Title (English) :
利用者名(日本語) :松本信洋a
Username (English) :
所属名(日本語) :A産業技術総合研究所
Affiliation (English) :

1.概要(Summary )
 SQUIDは物性研究・磁性材料開発等で広く用いられており、磁気モーメント測定値の精度は±1%といわれている。SQUIDは磁気モーメント値が既知の標準物質による校正を必要とする。図1では、ストロー内で固定されているカプセルの底に、直径1 mmの鉄イットリウムガーネット(YIG)球の磁気モーメント標準物質がある。YIG球を一旦試料空間の外に出した後で再び試料空間内に入れて磁気モーメント測定するという操作を計24回繰り返した結果、相対拡張不確かさ(k=2)1.8%ものばらつきがみられた。本研究テーマの一部として、この磁気モーメント測定値の再現性向上に取り組んだ。使用するSQUIDとしては、機器センター・藤原基靖主任による提案により、”Horizontal
rotator option”付属のカンタムデザイン社MPMS-7を選択した。

2.実験(Experimental)
3.結果と考察(Results and Discussion)

Horizontal rotator optionでφ方向に試料ロッドを回転させながら磁気モーメントを測定すると、図2のように0°から360°にかけて正弦波に似た磁気モーメントの変化を示した。試料空間の円軸方向をz方向とすると、図3のように理論上は測定試料が検出コイル中心と一致するとき(r=0)、磁気モーメントは最小になり、水平方向の位置rと共に二次曲線的に増加する。そこで、“正弦波”の最小値のときに試料が最も検出コイルの中心に近いと推測した。図4ではφ測定を21ヶ月間にわたって実施した。計12個の最小値の相対標準偏差は0.12%であり、測定値の再現性が大幅に向上した。なお、最近、他共同利用施設において
も同様の実験を継続している。現状では、分子研のMPMS-7の方が明らかに測定値の再現性・長期安定性が優れている。SQUIDの精度向上は、筆者の分析化学分野における絶対定量分析の精確さ向上に資するだけでなく、本SQUIDの多数のユーザーにとっても有益な情報になると思われる。

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