利用報告書

有機光デバイスへの応用を目指した金ナノ粒子およびシリカ被覆金ナノ粒子の合成
宮島 桃香1), 中野谷 一2)
1) 九州大学工学部物質科学工学科, 2) 九州大学大学院工学研究院

課題番号 :S-15-KU-0040
利用形態 :機器利用
利用課題名(日本語) :有機光デバイスへの応用を目指した金ナノ粒子およびシリカ被覆金ナノ粒子の合成
Program Title (English) :Synthesis of gold and silica coated gold nanoparticles for OLED
利用者名(日本語) :宮島 桃香1), 中野谷 一2)
Username (English) :M. Miyajima1), H. Nakanotani2)
所属名(日本語) :1) 九州大学工学部物質科学工学科, 2) 九州大学大学院工学研究院
Affiliation (English) :1) Kyushu University, 2) Kyushu University

1.概要(Summary )
金ナノ粒子近辺に存在する色素は金のプラズモン共鳴による増強電場によって蛍光が増強されることが知られている。本研究では有機光エレクトロニクスデバイスに金ナノ粒子のプラズモン共鳴効果による蛍光増強作用を利用することを目指し、サイズ制御された金ナノ粒子およびシリカ被覆金ナノ粒子を合成することを目的とする。合成したな金ナノ粒子およびシリカ被覆金ナノ粒子の平均粒径を動的光散乱法(DLS)により測定し、サイズ制御された金ナノ粒子およびシリカ被覆金ナノ粒子を得るための条件に付いて検討を行った。

2.実験(Experimental)
①粒径14nmの金ナノ粒子の合成:
窒素雰囲気下、塩化金酸197 mg (0.50 mmol)を脱水トルエン(22 mL)と混合し、室温でよく撹拌しながらオレイルアミン(1.8 mL, 5.50 mmol)を加えた。得られた赤褐色溶液を5 °C /minで昇温したのち還流を行った。反応溶液が紫色になった2.5時間後から30分毎に500 µLづつサンプリングし、溶液に2-プロパノールを加え6000 rpmで3分間遠心分離にかけ上澄み液を除去した後、シクロヘキサン(1 mL)で再分散させた。得られた各溶液を0.2 mポアのメンブレンフィルターでろ過後、動的光散乱法により解析を行った。
②シリカ被覆された金ナノ粒子の合成:
シクロヘキサン(10 mL)、脱イオン水(50 µL)、IGEPAL®CO-520(1.3 mL)を撹拌し、逆ミセル溶液を調製し、粒径14nmの金ナノ粒子シクロヘキサン溶液(上記再分散溶液50 µLをシクロヘキサン2 mLで希釈したもの)をよく攪拌しながら逆ミセル溶液へゆっくり滴下した。15分後、TEOS(80 µL)を滴下し、さらに15分後アンモニア水(150 µL)を加え、室温で48時間反応した。48時間後、アミノプロピルトリエトキシシラン(100 µL)を滴下し15分後にアンモニア水(60 µL)を加え24時間撹拌した後、遠心分離を行った。反応溶液と同体積のアセトンを加え、6000 rpmで3分間遠心分離にかけて上澄み液を除去した後、エタノールによる再分散操作を3回行った。

3.結果と考察(Results and Discussion)
金ナノ粒子合成における最適な反応時間についてDLSのキュムラント解析により検討を行ったところ、反応開始後3.5時間以降は多分散指数および散乱光強度分布において粒子径とその分布に明らかな増加が認められた。これは粒子同士の凝集が起きていることを示唆する。反応時間が5時間の場合の多分散指数は減少しているが、測定前のフィルタリングにより孔径(0.20 µm)より大きな凝集体が除去されたためと考えられる(図1)。

図1.反応時間による金ナノ粒子の粒径変化
以上の結果より、粒径14nmの金ナノ粒子の合成に最適な反応時間は3時間であると判断した。
また、シリカ被覆を行った金ナノ粒子の合成ではDLS測定においてTEM観察で認められる粒子径(約40 nm)のおよそ倍(72.0±9.6 nm)の粒径が認められた。これは乾燥状態でのTEM観察に対し、逆ミセルを含む溶液で測定を行ったため、界面活性剤や内水相分大きく見積もっているためであると考えられ、逆ミセル法を用いたナノ粒子調製ではDLSを粒径判断に用いることは不適切であることが分かった。

4.その他・特記事項(Others)
DLSの測定を快くお受けいただきました九州大学大学院工学府の中嶋直俊教授、白木智丈助教、また多大なる技術的なご支援をいただきました廣渡和夫氏に感謝いたします。

5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし。

6.関連特許(Patent)
なし。

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