利用報告書
課題番号(Application Number):S-16-NR-0017
利用形態(Type of Service):技術代行
利用課題名(日本語) :有機半導体材料の創生とデバイスへの応用
Program Title (English) :Creation of novel organic semiconductors and their application for organic devices
利用者名(日本語) :奥本健二1)
Username (English) :K. Okumoto1)
所属名(日本語) :1) 株式会社 奥本研究所
Affiliation (English) :1) Okumoto Laboratory CO., LTD.
1.概要(Summary )
有機電界効果トランジスタは、柔軟性に優れる電子デバイス等への応用の観点から活発に研究が行われている。現行の課題として、移動度や素子寿命の低さが挙げられる。その解決に向けては、有機半導体の材料開発がキーになる。本研究では、新規な有機半導体の合成・精製を行い、質量分析による同定と薄膜形成時の膜厚測定を行った。
2.実験(Experimental)
合成・精製した新規な有機半導体を同定するために質量分析装置(MALDI-Spiral-TOF質量分析装置JEOL社製、型番JMS-S3000)によって、分子イオンピークの検出を行った。測定は、合成した材料とマトリックスDCTBをクロロホルム溶媒中で混ぜ合わせ、空気中で乾燥させたサンプルに対して行った。
また、新規有機半導体を真空蒸着法により製膜し、その膜厚を触針式表面段差計(KLA-Tencor,AS-500)で測定を行った。
3.結果と考察(Results and Discussion)
質量分析によって得られたマススペクトルを図1および図2に示す。図1の広域図からは、分子量関連ピーク付近のみに強いシグナルを有するマススペクトルが得られることが分かった。これは、Spiral-TOFによってノイズシグナルが有効に除去されていることと、精製後の材料が不純物を含まないことに起因すると考察している。図2の分子イオンピーク付近のマススペクトルからは、合成した化合物が含有する元素の同位体に基づく複数のピークが検出された。そのピーク比から、目的物が得られていることが支持された。
図1.マススペクトル(広域)
図2.マススペクトル(分子イオンピーク付近)
また、触針式表面段差計による膜厚測定の結果、狙い通り100nm程度の薄膜が形成できていることが確認できた。今後、有機トランジスタデバイスを試作し、その電気的特性と寿命を評価する予定である。
4.その他・特記事項(Others)
測定のご指導をいただいた西川技術職員様、小池技術職員様に深く感謝申し上げます。
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし
6.関連特許(Patent)
なし







