利用報告書
課題番号 :S-17-JI-0011
利用形態 :技術代行
利用課題名(日本語) :有機膜のイオン化ポテンシャルと摩擦帯電性の関係調査
Program Title (English) :Relationship between ionization potential of organic film and friction chargeability
利用者名(日本語) :浅川 友保1)
Username (English) :T.Asakawa1)
所属名(日本語) :京セラドキュメントソリューションズ株式会社
Affiliation (English) :KYOCERA Document Solutions Inc.
1.概要(Summary )
弊社では,2種有機膜が接触・摩擦した場合に生じる帯電量を決定する物性について調査しており,本調査では,有機膜のイオン化ポテンシャル(IP)と摩擦帯電量の関係を調査した.一般的に,2種有機膜のIP差が大きいほど摩擦帯電量が大きくなると言われているが,逆の傾向を示した.摩擦帯電量に対するIPの寄与は小さく,他の物性の寄与が大きいことが示唆された.
2.実験(Experimental)
【IP測定(JAIST様にて測定)】
ペレット成形したサンプルのIPをXPSによって測定した.価電子帯XPSスペクトルの立ち上がり開始エネルギーをIPとした.
使用装置:XPS
線源:mono Al(Alkα線:0.834 [nm])
スポット径:0.7×0.3 [mm]
分解能:160 [eV](ワイドスキャン),20 [eV](ナロースキャン)
測定サンプル:有機膜1,2,3,5,6
【摩擦帯電量の測定(弊社にて測定)】
IP測定で使用した有機膜を粒子化し,粒子6に対して粒子1,2,3,5をそれぞれ混合し,粒子6の摩擦帯電量を測定した.
使用装置:QMメーター
測定環境:25℃40%
3.結果と考察(Results and Discussion)
有機膜1,2,3,5のIPから有機膜6のIPを引いた差(⊿IP)を横軸,粒子6に対して粒子1,2,3,5をそれぞれ混合した際の粒子6の摩擦帯電量を縦軸としてプロットしたグラフをFig.1に示す.一般的に,2種有機膜のIP差が大きいほど摩擦帯電量が大きくなると言われているが,逆の傾向を示した.摩擦帯電量に対するIPの寄与は小さく,他の物性の寄与が大きいことが示唆された.
4.その他・特記事項(Others)
参考文献:岡田 久雄,竹内 学 著
「2成分現像剤の静的帯電理論の再検討」
5.論文・学会発表(Publication/Presentation)
なし.
6.関連特許(Patent)
なし.